『「それって社長がやりたいんでしょ。自分はやりたくない」という社員には、どのようにすればいいのでしょうか?』


2月は講演続きで名古屋・大阪・神戸・福岡・東京を回っています。

ある講演の質疑応答で、ある社長さんから、こんな質問をいただきました。

仕事では、「これをやりなさい」と上から指示するだけでなく、社員自身が「これをやりたい!」という仕事ができるようにすることが大切だ、ということはよくわかった。確かに知識社会の今は、そちらの方がいいアイデアが生まれてくる。

しかし自社を振り返ると、自分は社長なのでやりたいことばかりやっているが、社員からは「それって社長がやりたいんでしょ。自分はやりたいない」と言われることが多い。「やりたくない」という社員に対しては、どうすればいいのか?

まず、ご自身が「やりたい」と思っている仕事をしているのは素晴らしいことですね。一方で、さらに社員がどのように「やりたい仕事」が出来るようにするかが、このご質問です。

私は次のようにお答えしました。

まず必要なのは、社員との対話だと思います。これからお話しするのは、会社員だった頃の自分のマネージャーの経験です。

当時、私は30代中頃。前任マネージャーの頃から経験あるシニアな人たちが去り、若手中心で人数は半減した状態で、営業支援チームのチームリーダーを担当することになりました。

私自身、人から「これをやりなさい」と言われるのは嫌な性格でした。そこで
チームメンバーにも、「自分はこれをやりたい」という仕事ができる環境を作りたいと考えました。

ただ、いきなり「自分のやりたい仕事を教えて下さい」と言っても、普通はなかなか答えられません。普段から考えることが少ないからです。

そこで、「1週間後に1対1でお話しする時までに、自分が本当に何をやりたいのか、考えておいて下さい」とお願いし、一人一人と話し合いをしました。

意外なことがわかりました。前任マネージャーが各自にアサインした仕事は、実は本人がやりたい仕事ではなかったということです。

たとえばある女性は、容姿を買われて、製品デモの担当をしていました。しかし実際に話しを 聞いてみると、とても意外なことに、人前に出るのは大の苦手で辛かったということがわかりました。本当にやりたい仕事は、デザインや資料作成でした。そこ でお客様向けの資料作成の仕事をお願いしました。お客様別に色々な資料を作る仕事があったのですが、実にいい仕事をしていただき、お客様からも高い評価を いただきました。

色々な幸運に恵まれ、この若手中心の少人数チームは前年を凌ぐ成果を挙げました。その1つの要因は、各自が自分がやりたい仕事に取り組んだことだと思います。

マネジメントは、チーム内で発生する色々な仕事をメンバーにアサインする権限があります。だったらその仕事は、本人が希望する仕事をアサインした方がいいですよね。「やりたい仕事」なので、アイデアも次々生まれますし、成果に繋がります。

もちろん、仕事なので、状況によっては希望が叶えないこともあります。

しかし一方で、「対話をする」ということがとても大事だと思います。状況が変われば希望が叶える可能性も出ますし、何よりも社員ご自身の納得度が違ってくるのではないでしょうか?

皆様だったら、どのようにお答えになりますか?