満を持して渾身の新製品を出したのに、すぐにライバルに追いつかれるのはなぜか?どうすればいいか?


市場調査や顧客調査を徹底し、「これだ!」という課題を見つけだし、新製品を開発、満を持して発表します。

市場の受けもいい。

しかし数ヶ月もせずに、間もなく競合が似た商品を出してきて、価格勝負に陥ってしまう。

こんな経験をされている方、多いと思います。

なぜこうなるのでしょう?

 

大きな原因の一つが、「顧客が買う理由」(バリュープロポジション)の見極めが不十分だからです。

では「顧客が買う理由」を考える際に、どの点が不十分なのでしょうか?

 

当ブログでも何回かご紹介しているように、バリュープロポジションは次のように考えます。

(1) 自社の事業は何か?
(2) 自社の強みは何か?
(3) その強みを必要とするお客様は誰か?(= ターゲット顧客)
(4) そのお客様が必要とすることは何か?(= 顧客課題)
(5) お客様が自社を選ぶためにどうするか?(= 解決策)
(6) バリュープロポジション(お客様が買う理由)は何か?

この「(2) 自社の強みは何か?」の見極めが不十分なまま、ターゲット顧客と顧客課題を考えているので、他社に簡単に追いつかれてしまうのです。

 

とは言え、「自社の強みはどうやって見つければいいのか?」と思われる方は多いと思います。

方法論はあります。

たとえば、現在業績絶好調のユニチャームの強みは、

「不織布吸収体の成形加工技術により、
清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供できる」

これをよく読むと、二段階構造になってることに気づかれるのではないかと思います。

「不織布吸収体の成形加工技術により、   →技術
清潔・衛生・新鮮な快適環境を提供できる」 →顧客の価値

 実はユニチャームは、2002年頃にこの「自社の強み」を徹底的に考えて、この強みを活かせない既存事業(芳香剤、幼児教育、さらに創業事業である建材事業など)から撤退を決断、そして強みを活かせる5事業に絞り込みました。

 

かつての強かった頃の日本企業も、「技術」+「顧客価値」で強みとなるコア技術を見極め、それをもとに「製品」を作り、成功してきました。

ソニー:小型化技術(技術)による携帯性(価値) →ウォークマン、ハンディカム(製品)

ホンダ:CVCC等のエンジン(技術)による省エネ・排ガス規制対応(価値) →初代シビック

強みを「技術」+「顧客価値」で考える大切さは、ユニチャームの事例を見ればわかるように、現代でも重要です。

ただ一方で、小型化技術で携帯機器を量産するアップルやサムソンに押されている現在のソニーの苦境を見ればわかるように、「強み」には賞味期限があります。

つまり強みは常に見直し、さらに強化していく必要があるのです。

 

とは言え、「自社の強み」は自分たちにとっては当たり前なので、どうしても過小評価してしまったり、気がつかないのが現実でもあります。

別の強みを持つパートナー企業と組んで事業を進めたり、第三者が入ったりして議論をするのも、一つの解決策です。

 

強みをさらに見極めるためには、ジェイ・B・バーニーが提唱しているVRIO分析や、マイケル・ポーターが提唱する「強みは掛け算で考える」といった方法論もあります。何やら難しそうな言葉ですが、考え方自体はシンプルです。

追って当ブログでご紹介していきたいと思います。