技術的な卓見性を兼ね備えた戦略を立てて、愚直に実行するイーロン・マスクの凄さ


イーロン・マスクについては、当ブログでも何回かご紹介してきました。

宇宙ビジネス・電気自動車・太陽エネルギーに挑戦するイーロン・マスクの実像。「モノゴトに魔法はない。志を持って実行するのみ」

火星移住に向けて着実に宇宙ロケット技術を進化させているイーロン・マスク

 

このイーロン・マスクの取り組みからは、実に色々なことを学ばされます。

その一つが、

①最初にぶれない戦略を立てること
②そして、それを愚直に実行すること

 

たとえばスペースX社では、このように考えました。

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現状:既存のロケットは特注品であり、材料コストは2%。一方、民生品でたとえばパソコンは材料コストは90%。しかもロケットは再利用せず使い捨て
戦略:ロケットの総コストは1/100程度に引き下げることは可能。民生品を使用し、再利用する。
実行:3回の失敗を重ね、創業8年目に独自開発の宇宙ロケットを軌道投入して回収。民間の宇宙船としては史上初。さらにロケット回収技術も試行錯誤を繰り返しながら開発中。

 

電気自動車を開発販売するテスラでは、このように考えました。

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現状:電気自動車はコストが高く、エコカーとしてなかなか普及が進まない。
戦略:まずプレミアムカーとして10万ドルを超える高級車を発売。次に5万ドル程度のミドルクラスの4ドアセダン。最後は大衆の手に届く2万ドルクラスのエントリー車を大量に生産。
実行:レーシングカーの名門・英国ロータス社と共同開発契約を締結。納期遅れとコスト増で苦しみ顧客の前払い金を私財で保証までしながら電気自動車を開発。その経験に基づき蓄積した技術を活かして、ミドルクラスに広げる。量産効果でエントリー車を量産。

 

そのテスラで最近発表したTesla Energyブランドの蓄積型バッテリーユニットでは、このように考えました。

現状:原子力発電と比較して太陽光発電が劣るのは、発電の安定性。昼間の太陽が照る時間しか発電できない。
戦略:高信頼性があり、スケーラブルなバッテリーを低コストで量産すれば、太陽光エネルギーの不安定性を補える。これを20億台展開できれば、全人類のエネルギーを太陽光発電で代替できる。現在世界で20億台の自動車があるので実現不可能な数字ではない。
実行:テスラーの電気自動車で試行錯誤しながらバッテリーを実装。

 

イーロン・マスクはある雑誌のインタビューでこのように語っています。

「革命的なブレークスルーによってではなく、コツコツと地道な努力を積み重ねることで成し遂げたんだ」

技術的な卓見性を兼ね備えた戦略性に、日本企業のお家芸でもあった愚直な仮説検証の積み重ねが加わったイーロン・マスク。

今後も目が離せません。