自分たちの商品がコモディティ化している。どうすればいい?


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「『常にお客様の期待を上回り続ける』というお話し、その通りと思います。
ただ、我が社の商品の多くはコモディティ化しています。
成熟期から衰退期に入っている商品も多い。
今の自分たちの商品がコモディティ化している場合、どのようにすればよいのでしょうか?」

講演が終わると、ある方からこんなご質問をいただきました。

現代では商品寿命がとても短くなっています。1〜2年前まで売れ筋商品だったのに、ライバルが登場してあっという間に価格競争に陥り、急速にコモディティ化することもよくあること。コモディティ化は、多くの業界が共通に持っている切実な課題です。

「まったく同じことで悩んでいる」という方も、多いのではないでしょうか?

 

このご質問に、私は次のようにお答えしました。

コモディティ化した事業でも、必ずお客様の不満があります。
その中で、お客様が「お金を払ってでも解決したい」という不満を見つけて、解決することです。

たとえば「コメの販売」は、まさにコモディティ化した業界です。しかしこの業界に異業種から参入してビジネスを伸ばしている会社があります。アイリスオーヤマです。

実はコメには隠れた不満がありました。店で売られている白米は、玄米を精米してヌカを落とした状態で売られています。この白米の状態のまま空気に触れていると、酸化が進んでまずくなってしまうのです。

ちなみに我が家では、コメは必ず玄米で買っています。そして妻が玄米を自宅にある家庭用精米器で精米し、三分づきにした状態で炊いています。確かにこうするととても美味しく炊けるのですが、手間がかかるので普通はなかなかやりませんよね。

現実はどうなっているかというと、コメを売る方は「主食だから安く売ろう」と考えて、精米したコメをキロいくらの低価格勝負に走っています。買う方は5Kgとか10Kg単位で1ヶ月分をまとめ買いするので、家庭の中でコメの酸化が進んでしまい、味が劣化してしまうのです。

でも、本当はもっと美味しくできるはずですよね。

アイリスオーヤマは、この課題に挑戦しました。低温工場を作って玄米のまま保管し、需要に応じて精米します。包装は3合(450g)の小分けパックで脱酸素剤も入れて出荷します。家庭で炊く直前に開封するので精米直後の美味しい状態でコメの味を楽しめます。

10万円以上の高級炊飯器で酸化した高級米を炊くよりも、普通の炊飯器で新鮮な普通のコメを炊いた方が美味しいそうです。

 

このように、一見コモディティ化している業界でも、隠れたお客様の不満が必ずあります。気がつかずに酸化したコメを食べているように、それはもしかしたら、お客様も企業側も「当たり前なこと」として、受け容れていることかもしれません。だからこのような不満は、ただお客様に聞くだけではなかなか出てきません。

お客様の声や市場の状況を観察しながら、「お客様の隠れた不満は何なのか?」と考えることが必要なのです。

そして新たな発想や技術を活かして解決できれば、それはコモディティ化を抜け出す糸口にもなります。

そして常に謙虚な姿勢で、本当にお客様の不満があるのか、その不満を解決できるのか、そしてお客様が本当にお金を払うか、仮説検証を続けていくことが必要なのです。

 

ただ、時間が経てば他社も必ず追従してきます。
だから常に新しいお客様の不満を探し続けることが必要なのです。

もし「お客様の不満がまったく存在しない」ということであれば、対応は難しいでしょう。しかし現実には、そういうことはあり得ません。お客様は、必ず様々な隠れた不満を持っています。それを解決することが、商売のネタになり、さらによりよい世の中を創っていくことにつながるのです。

 

 

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