「今の仕組みは全然ダメ。破壊すべし」というご意見


こんなご意見を時々聞きます。

「今の会社の仕組みは全然ダメ。すべて破壊すべきだ」
「現経営陣は、全員入れ替えるべきだ」

たとえば第二次世界大戦では、旧日本軍の上層部は不合理な意志決定を繰り返し、負け戦を続け、日本は米国に惨敗しました。そしてすべて破壊された後に、高度成長が始まりました。

「今の仕組みが機能していないのだからすべて破壊すべし」というのは、一見正論に思えます。

しかし現実には、第二次世界大戦ですべてを破壊された日本は、昭和20年代前半に飢餓やハイパーインフレにより大混乱が起こり、日本国民はとても苦しみました。高度成長期はその後、朝鮮戦争特需がきっかけで始まりました。

破壊のデメリットは、とても大きいのです。

現実には、今の仕組みの上では今のビジネスが動いています。現行ビジネスを破壊してしまうと、会社そのものが破綻してしまう可能性もあります。

ちょうどターミナル駅のリニューアル工事と同じです。渋谷や新宿のようなターミナル駅では毎日何百万人も乗り降りしています。「これから1年間、工事のため駅を壊すので閉鎖」なんてやってしまうと、社会全体が大混乱になります。

会社の中で実際に現ビジネスに責任を持つ立場からすると、『「すべて破壊すべし」なんて言うけど、現実にそんなことをしたら大混乱だ』というのが、口に出せない本音ではないでしょうか?

組織は継続性も必要なのです。低迷した組織を「破壊すること」が自己目的化してしまい、さらに低迷してしまう事例は数多くあります。

問題は、今の仕組みが、新しい価値を生み出せなくなっていること。そして低迷する企業の多くが、個人の「コレやりたい!」という気持ちを活かせておらず(従って人材も活かしておらず)、仮説検証サイクルも回っていないことです。

ですので私は、むしろ今の仕組みは残したままで、まず小さなところから新しい取り組みを始めるべきだと思います。

たとえば「コレやりたい!」という強い気持ちを持った少人数チームに、予算や期間などの許容範囲を示した上で、自由意志を尊重して自律的なプロジェクト立ち上げを任せてしまう。

このプロジェクトでは仮説検証サイクルを高速で回し、試行錯誤を繰り返しながら、短期間での事業立ち上げを目指す。

この際、旧来型の管理ルールはすべて外す。ただし既存組織の仕組み(会計処理や業務システム)はそのまま使えるようにする。

そしてそのような取り組みを、様々なところで行う。

 

プロジェクトが成功し、新規事業に育つことで、既存ビジネスが徐々に置き換え変わっていくのです。

 

 

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