ウォークマンは、原価割れで売っていた!?


今月の朝活勉強会「永井塾」で、こんなご質問がありました。

「永井さんがお話しした、『これまで他社が300万円で提供していたサービスを、ムダを省いて5万円で提供するようにした』という事例がとても面白いなと思いました。でも、なんで3万円とか10万円でなく、5万円なのですか?」

ご指摘の通り、新商品や新サービスで悩むのは、価格ですよね。

ここで大切なのは、「値ごろ感」です。

ソニーが1979年に発売したウォークマンは定価32,000円でした。
実は原価は48,000円。最初は売れば売るほど赤字だったのです。

ではなぜ赤字なのに32,000円にしたのでしょうか?
この価格を決断したソニーの盛田昭夫さんの言葉が、「ソニー 盛田昭夫」(森健二著で紹介されています。

盛田は価格設定のツボについて語りはじめた。

「こういう全く新しい商品、見本も参考にするモノもない、こういう商品には〝値頃感〟というのが特に大切だ。このモノだったら、いくらなら売れるのか。モノには値頃感がある。ついでに言えば、どんないいモノでも『いいけど高い』、これは買わないよ。『高いけど、さすがだな』というのは買ってくれる。このニュアンスは、月とスッポンだぞ。値付けはこの呼吸が勝負なんだ」

結果、ウォークマンは1億台以上売れて、時代を大きく変えました。
大量生産により原価も大きく下がり、ソニーに莫大な利益をもたらしました。

当時のソニーは、このように価格を戦略的に考えていたのです。

『いいけど高い』
『高いけど、さすがだな』

似ているようで、この差は実に大きいのです。
これをわけるのが「値ごろ感」。

「コスト」と「価格」は混同されがちですが、全く違います。

「コスト」は「事実」。企業がコスト削減努力した結果です。
「価格」は「戦略」。考え方次第でいかようにも変えられます。

高く売るのも戦略ですし、コスト割れで売るのも戦略です。
そして価格戦略次第で、売れるのか、そして儲かるのかが決まります。

 

御社の商品には、「値ごろ感」があるでしょうか?

 

 

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