読書する人は、よりフローを体験する


「フロー体験」という言葉をご存じでしょうか?

何かに夢中になって没頭し、あっという間に時間が過ぎる体験のことです。

私の場合、午前7時に仕事を始めるのですが、原稿書きに夢中になるとあっという間に4〜5時間経過し、ランチタイムになることがあります。こんな時はいい本が書けているし、充実感もあります。
同じような体験をする方も多いと思います。

心理学者のチクセントミハイは、「幸せの根本とは何か?」を研究し、芸術家などの創造的な仕事をしている人に注目しました。

ある作曲家は「自分が存在しないような感覚になり、手が勝手に動き曲を作るのを、ただ驚いて見ているだけだった。曲が泉のように湧きだしてくる」と表現しました。

このように彼らは普段と異なる「忘我の境地」に入るときに、まるで水が湧き出て流れるように、創造的な活動を行っていたのです。

チクセントミハイは、この泉のように「流れる(flow)」状況を「フロー体験」と名付けました。

 

フロー体験は、私たちの仕事でも起こります。チクセントミハイは、ソニー設立時の井深大さんの開発チームは、常にフロー状態にあったと述べています。

このフローは、次の3つの条件が揃ったときに生まれます。
①具体的な行動を必要とする、明確な目標があること
②行動し結果したフィードバックがすぐに得られ、うまくいったかどうかわかること
③自分のスキルレベルとその挑戦レベルが、高いレベルで釣り合っていること

フロー状態になると自意識が消え、他を考える余裕がなくなり、自分が強くなったように感じ、まるで数時間が1分のように感じます。まさに「忘我の境地」ですね。

脳の能力には限界があります。フローは大きな集中力が必要なので、フローになると脳は情報を遮断し、他に注意を払う余裕がなくなります。脳の能力をマックスまで引き出すことで、人は創造的になるのです。

 

ドイツでフロー体験について大規模な調査が行われたことがあります。「多くの本を読み、テレビをほとんど見ない人たち」が、最も多くのフロー体験をしていました。逆に「滅多に本を読まず、よくテレビを見る人たち」は、最も少ないフロー体験をしていたそうです。

自分の頭や身体を使い、能動的に好きなことをしているとフローは起こりやすくなります。
しかし好きなことでも受動的な活動では、なかなかフローは起こりません。

良書は、自分の脳の力を引き出し、高めて、読者をフロー体験にいざなってくれます。
やはり読書は大切だと思います。

 

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