私がコンサルティングで、お客様から徹底的に教えていただく理由


   

たまにこんなコンサルタントを見かけます。

『お客さんから「どんな商品が売れるでしょうか?』ってよく聞かれるんですけど、売れるモノがわかっていたらオレ自分で作るよ、って話ですよ。そもそも自分で何やりたいのかわからない人が多いんですよね。いつも「で、どうしたいんですか?」って口から出かかってます』

これはとてももったいない話だな、と思います。

相談されている方は、困っています。必要なのはその人の悩みに寄り添い、一緒に悩み考えながら新しいアイデアを創り出していくことだと思います。

このケースでも、コンサルティングの切り口は、いくらでもあります。

たとえば私が「どんな商品が売れるでしょうか?」という同じご相談を受けた場合、まずお客様からこんなことを教えていただきながら、一緒に考えます。

「あなたは、どんな商品がいいとお考えですか?」
「御社の強みは、何だと思いますか?」
「いまの商品は、どんなお客様に売れていますか?」
「いまの商品で、あなたが想定もしなかったお客様はいますか?その方はどんなお客様ですか?」
「いまの商品で、あなたが想定もしなかった使い方をしているお客様はいますか?そのお客様は、どのように使っていますか?」
「これまで売ってきて、『これは意外だったなぁ』という発見って何かありますか?」

各質問はお客様の知識を引き出すための糸口です。それぞれに対して参考になる成功事例や理論を二重・三重に用意した上で、議論を深めていきます。

その相談をしているお客様しか持っていない知識(暗黙知)や経験、商品知識やお客様に関する知見は、私たちコンサルタントは逆立ちしても絶対に敵いません。中にはお客様ご自身も気付いていない暗黙知もあります。これらは徹底的に尊重して謙虚に教えていただき、できる限り引き出していくべきです。

一方でお客様が持っておらず私たちが持っているのは、様々な問題解決の方法論や、他業界での事例や経験、さらにお客様が知らない人とのコネクションです。

100年前にシュンペーターが喝破したように、イノベーションの本質は既存知と既存知の組合せです。

お客様が持つ現場の知識や経験という既存知と、私たちが持つコンサルタントの知識や経験という既存知を、深いレベルで組み合わせて相乗効果を生むことで、全く新しいイノベーションの種が生まれるのです。

「で、どうしたいの?」と突き放すコンサルタントは、せっかくのチャンスを手放しているように見えて、とてももったいないな、と思います。

 

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