誰にも注目されない零細企業が、世の中に知られる方法


永井経営塾でこんな質問をいただきました。

「当社は零細企業で、メディアも注目してくれません。どうすればいいでしょうか?」

零細企業はお金もないので広告も打てません。しかしそもそも広告を一本打っただけでは、翌日には忘れられます。これではコスパは悪いですよね。

そこで必要なのがPR(パブリックリレーション)、つまり広報活動です。
新聞やWebニュース会社などのメディア各社にニュース価値がある情報を提供して、取り上げていただく方法です。

そこで2つの観点で、誰にも注目されない零細企業が、世の中に知られる方法をまとめたいと思います。かく言う私もIBM社員時代にやっていた方法なので、大企業の担当者もぜひ参考にして下さい。

①伝えるコンテンツ

絶対間違ってはいけないのは「メディアはお金がかからない広告だ」…とは考えないこと。

広告ならばメッセージを100%自分でコントロールできるので、伝えたいことをストレートに言えます。

しかしPRでは、メディア会社が自社視点でメッセージを作ります。自分が情報を提供した後は、メッセージを全くコントロールできません。「情報出したけど掲載してくれたメディアはゼロ」ということも多いですし、最悪の場合はネガティブ情報として掲載される場合すらあります。

メディア各社は「読者や視聴者にとって価値がある」と感じていただける情報を常に探しています。まずはメディア会社が持つ外部視点で、自分の会社にどんなニュースバリューがあるかを考えること。

メディアが欲しがるのはこんな具体的な情報です。

・世界、国内、業界で初
・世界、国内、業界で最大(又は最小)

一方で、こんな情報はメディアには無視されます。

・自社の新戦略や新しいビジョン

GAFA級の超大企業の全社戦略ならば別ですが、普通の会社の戦略やビジョンには、メディア会社は興味ありません。(ちなみに私もIBM社員時代、担当する事業の新戦略をメディアにお伝えしましたが、ほとんど掲載いただけませんでした)

②担当者リストを、リッチにしていく

あなたは連絡を取るべきメディア会社の担当者リストを持っているでしょうか?
メディア会社のリストではありません。個人名が入った担当者のリストです。

会社という組織は、判断しません。
情報掲載の可否を判断するのは、メディア会社の担当者です。
ですから、まずは担当者リストを作ることです。

「日本一の星空の村」として全国区ブランドになった長野県阿智村の仕掛け人である松下さんも、担当者リストを持っていました。この挑戦は2012年から始めましたが、新しい挑戦を始めると、メディアの視点で記事情報を整理し、マメに担当者リストに基づいて情報を配信。最初は信濃毎日新聞などの地方紙に取り組みを取り上げられました。

さらに新しいメディア担当者の名前を追加したり、担当者が異動したら新任担当者に差し替えたりしているうちに、担当者リストは次第にリッチになり、日経や朝日新聞などの全国紙、さらにテレビ局などにも取り上げられるようになりました。

①と②を地道に続けながら、メディアが取り上げたくなるような情報に加工した情報を、②の担当者にマメに発信することです。たとえば…

「今年、阿智村の『日本一の星空』を見るために、10万人が来場!」

メディア会社の担当者が「この分野は、この人からの情報が役立つ。手間と時間をかけてでも話を聞く価値がある」と思われるようになると、しめたもの。メディアで情報が掲載されるようになります。

正しい方向を決め、具体的な活動を地道に続けることが王道なのです。

   

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