大野耐一著「トヨタ生産方式」…36年前の本ですが、大きな学びがあります


大野耐一さんが書かれた「トヨタ生産方式」は1978年の出版。36年前の本です。

これを読もうと思ったきっかけは、エリック・リース著「リーン・スタートアップ」で、頻繁に本書が引用されていたからです。

アマゾンで調べたところ、Kindle版がありました。これはありがたいですね。

 

ともすると「36年前のビジネス書は古いんじゃないか?」と思いがちですが、素晴らしい本はとても学びがあります。

—(以下、引用)—

 必要なものを、必要なときに、必要なだけ供給する「ジャスト・イン・タイム」をどのようにしたら実現できるかを私は考え続けた。私はものごとをひっくり返して考えるのがすきだ。生産の流れは、物の移動である。そこで私は物の運搬を逆に考えてみた…

 いま「後工程が前工程に、必要なものを、必要なとき、必要なだけ引き取りに行く」と考えてみたらどうか。そうすれば、「前工程は引き取られた分だけつくればよい」ではないか。たくさんの工程をつなぐ手段としては、「何を、どれだけ」欲しいのかをはっきりと表示しておけばよいではないか。  それを「かんばん」と称して、各工程間を回すことによって、生産量すなわち必要量をコントロールしたらどうか、という発想となった。

—(以上、引用)—

「まず必要なアウトプットを考える。そして、そこからさかのぼって考える」という考え方は、「最初にまず買いたいという顧客を見つける」というリーンスタートアップの考え方に大きな影響を与えたのではないかと思います。

 

ではトヨタは、どのようにこれを実現したのでしょうか?

—(以下、引用)—

 トヨタ生産方式の基本思想を支えるのは、これまで触れてきた「ジャスト・イン・タイム」と、つぎに触れる「自働化」であり、「かんばん」方式は、トヨタ生産方式をスムーズに動かす手段なのである。

(中略)

この自動機にニンベンをつけることは、管理という意味も大きく変えるのである。すなわち人は正常に機械が動いているときはいらずに、異常でストップしたときに初めてそこへ行けばよいからである。だから一人で何台もの機械が持てるようになり、工数低減が進み、生産効率は飛躍的に向上する。

(中略)

いっぽうの「自働化」は生産現場における重大なムダであるつくり過ぎを排除し、不良品の生産を防止する役割を果たす。そのためには、平生から各選手の能力に当たる「標準作業」を認識しておき、これに当てはまらない異常事態、つまり選手の能力が発揮されないときには、特訓によってその選手本来の姿に戻してやる。これはコーチの重大な責務である。

—(以上、引用)—

人が介さない「自動化」と、人が介する「自働化」が生み出す価値を区別して考えることは、ITが普及した現代こそ、再びじっくり考えるべきポイントです。

 

—(以下、引用)—

企業のなかのムダは無数にあるが、つくり過ぎのムダほど恐しいものはない。

—(以上、引用)—

「作りすぎ」を、「過剰在庫」ではなく、「顧客ニーズに合わない製品」と読み換えると、まさに顧客の課題に合っていない売れない商品を作り出している今の企業が抱えている課題そのものです。

だからこそ、トヨタ生産方式を現代の製品開発に進化させたリーンスタートアップのような方法に注目が集まっているのでしょう。

 

トヨタで有名な「五回のなぜ」についても書かれています。オリジナルの本書では、どう書かれているか見てみましょう。

—(以下、引用)—

たとえば、機械が動かなくなったと仮定しよう。

(1)「なぜ機械は止まったか」 「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ」
(2)「なぜオーバーロードがかかったのか」 「軸受部の潤滑が十分でないからだ」
(3)「なぜ十分に潤滑しないのか」 「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
(4)「なぜ十分くみ上げないのか」 「ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ」
(5)「なぜ摩耗したのか」 「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったからだ」

トヨタ生産方式も、実をいうと、トヨタマンの五回の「なぜ」を繰り返す、科学的接近の態度の累積と展開によってつくり上げられてきたといってよい。

五回の「なぜ」を自問自答することによって、ものごとの因果関係とか、その裏にひそむ本当の原因を突きとめることができる。

私は、生産の現場に関しては、「データ」ももちろん重視してはいるが、「事実」をいちばんに重視している。問題が起きた場合、原因の突きとめ方が不十分であると、対策もピント外れのものになってしまう。そこで五回の「なぜ」を繰り返すというわけである。これはトヨタ式の科学的態度の基本をなしている。

—(以上、引用)—

このように「五回のなぜ」はただやみくもに考えるのではなく、あくまでも「事実」を起点に考えることが必要です。

商品開発の場合も、アイデアを考えるだけではなく、顧客のリアルな反応といった事実をもとに考えていくことが必要です。

そのための方法が仮説検証なのですね。

 

本書のごく一部を紹介しました。

本書は生産方式について書かれていますが、自分の仕事に当てはめて読んでいくと、とても学びが多い本です。