LCCは、価格競争を脱して新市場を創造できるか?


「国内LCC、値引き合戦勃発 価格競争際限なし」という記事を読みました。

成田-新千歳 4590円
成田-福岡 5590円
関西空港-福岡線 3590円

さらに

最低価格1円(1万席限定)

などというのもあります。

消費者にとっては安いことはありがたいことですが、問題は記事にもあるように、…

今のところ、国内LCCには安さ以外の武器はなく、このままでは際限のない価格競争に巻き込まれることは必至だ。

という点です。

—(以下、引用)—

8月から成田を拠点に就航する全日空系のエアアジア・ジャパンの岩片和行CEOは「安いだけではすぐにあきられる」と肝に銘じている。LCCが日本の空で大きく飛躍するためには、いかに付加価値を付けるかにかかっているが、各社ともその答えをまだ持っていない。

—(以上、引用)—

元々、LCCの先駆けであるサウスウェスト航空は1970年代の創業。同じLCCがいない中で新しい需要を取り込み続けて成長を続け、米国航空会社の中で屈指の高収益企業となりました。

一方で、同一市場の中で複数社が入り乱れて同じ「安い」という価値だけで競争している限り、安さだけが競争の指標になってしまいます。そうすると勝てるのは一番安い会社だけ。

岩片CEOの「安いだけではすぐにあきられる」という言葉が、まさにこのことをあらわしています。

 

LCCは、クレイトン・クリステンセンが「イノベーションのジレンマ」で描いたところの「破壊的技術」です。破壊的技術はこれまで使ったことがない顧客層を開拓して新市場を生みだし、その市場が技術進化とともに成長することで大きなビジネスになります。

これまで航空会社を使ってこなかった新しい顧客をいかに開拓するか、そしてそこにいかに自社ならではの価値を提供するかが、「価格競争の泥沼」から抜け出すために、今後求められているのかもしれません。