「正しい答え」でなく「正しい問い」を探せ


商品企画で「売れる新商品を作ろう」と考えて、そのための「正しい答え」を探そうとして堂々巡りに陥っている人は、少なくありません。

しかし世の中はますます複雑になり、ニーズも多様化しています。
「売れる商品にするための正しい答えが、どこかにある」と思って一生懸命に答えを探しても、なかなか見つからないものです。

必要なのは「正しい答え」の前に、「正しい問い」を探すことです。
お客様は、何で困っているのか?
お客様は、どんな課題を持っているのか?

これはお客様に会って話しを聞くだけではわかりません。
お客様にとって問題は当たり前になっているので、何が問題なのかをなかなか言葉にできないのです。

たとえばある食品加工用機械メーカーのセールスが、鶏肉加工工場に商品を納めに行くと、作業員が手作業で鶏モモ肉の骨を外していました。加工業者は「昔からこの業界は、手で骨を取り出すのが常識。それ以外の方法を考えること自体、馬鹿げている」と思い込んでいました。

この作業員を見て、セールスは考えました。
「待てよ。鶏モモ肉の骨を手で取り出しているけれども、もっと効率が良い方法があるんじゃないか?」

彼は自動で脱骨する機械の開発に取り組み、試作品を完成させました。
「バカげている」と言っていた加工業者は、試作品を見て「欲しかったのはコレだよ!」
こうして開発した前川製作所の商品「トリダス」は、ヒット商品になりました。

お客様は「自動で脱骨したい」という課題を持っていましたが、手作業が当たり前になっていたので、課題が見えなかったのです。

前川製作所のセールスは、正しい問いを見つけ、自分でその問いに対する答えを作ることで、ヒット商品を生み出したのです。

商品開発では、まず探すべきは「正しい問い」なのです。

 

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