永井孝尚ブログ

ブログ一覧

考えるだけでは、いい企画は生まれない

このような悩みをよく聞きます。

「みんなでいい企画を作ろうと考えているんですけど、なかなかいい企画が思いつきません」

これは勘違いをしています。
それは「考えれば、いい企画が生まれる」と思ってること。

考えるのは、確かに大切です。
しかしそれだけでは、いい企画は生まれません。

企画のキモは「誰かの課題を解決すること」。誰かとは、たとえば顧客や同僚の社員です。

顧客も気づかない課題を見つければ、ヒット商品の種になります。
あるいは、同僚の社員が抱える課題を見つけて、会社が元気になることもあります。
このような課題の発見が、いい企画の種です。

このような企画の種は、会議室に何人も集まって考えているだけでは見つかりません。
いい企画を生み出す出発点は、まずよい情報(=事実)を仕入れることです。

商品開発であれば、顧客を観察してみて、顧客も気づかない課題を見つける。
あるいは同僚の社員を観察して、何で困ってるかを見つける。
考え抜くのはその後です。

顧客も気づかない課題を見つけたら、なんでその課題が発生しているのか、どうすれば解決できるのかを考え抜く。
あるいは同僚の社員が困っていることを見つけたら、なんでそんなことが起きているのか原因を考え抜き、解決策を考え抜く。

私は会議室でお客さんと考える場合、たとえば消費者アンケートなどをプロジェクターで映しながら、気がついた点や違和感を議論することもあります。これも「よい情報(=事実)」に基づいて考える一つの方法です。

材料がないままひたすら「いい企画は何だろう?」と考えても、ただ時間が過ぎていくだけ、ということも多いのです。

まずは、よい情報を仕入れましょう。
考え抜くのは、その後です。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

朝活・永井塾 第30回「ブランド戦略のポイント」を行いました

今朝は第30回朝活勉強会「永井塾」。テーマは「ブランド戦略のポイント」でした。

強いブランドは、お客様から信頼されるようになり、値下げしなくても売れるようになります。
しかしブランドとは、単なるロゴや、かっこいい商品のことではありません。ブランドとは、「お客様との約束」です。
強いブランドを戦略的に作る方法を提唱しているのが、世界的なブランド戦略の大家・デービッド・アーカーです。そこで今回は、下記をテキストに、ブランド戦略について皆様と考えました。

「ブランド優位の戦略」(デービッド・A・アーカー著)

今回も早朝から多くの方々に参加いただき、感謝です。

次回の朝活勉強会「永井塾」は9月4日(水)。テーマは「日本の優秀企業と米国のエクセレントカンパニー」です。
詳しくはメルマガでご案内していますので、参加希望の方はメルマガにご登録いただければ幸いです。ご参加をお待ちしております。

 

「正しい答え」でなく「正しい問い」を探せ

商品企画で「売れる新商品を作ろう」と考えて、そのための「正しい答え」を探そうとして堂々巡りに陥っている人は、少なくありません。

しかし世の中はますます複雑になり、ニーズも多様化しています。
「売れる商品にするための正しい答えが、どこかにある」と思って一生懸命に答えを探しても、なかなか見つからないものです。

必要なのは「正しい答え」の前に、「正しい問い」を探すことです。
お客様は、何で困っているのか?
お客様は、どんな課題を持っているのか?

これはお客様に会って話しを聞くだけではわかりません。
お客様にとって問題は当たり前になっているので、何が問題なのかをなかなか言葉にできないのです。

たとえばある食品加工用機械メーカーのセールスが、鶏肉加工工場に商品を納めに行くと、作業員が手作業で鶏モモ肉の骨を外していました。加工業者は「昔からこの業界は、手で骨を取り出すのが常識。それ以外の方法を考えること自体、馬鹿げている」と思い込んでいました。

この作業員を見て、セールスは考えました。
「待てよ。鶏モモ肉の骨を手で取り出しているけれども、もっと効率が良い方法があるんじゃないか?」

彼は自動で脱骨する機械の開発に取り組み、試作品を完成させました。
「バカげている」と言っていた加工業者は、試作品を見て「欲しかったのはコレだよ!」
こうして開発した前川製作所の商品「トリダス」は、ヒット商品になりました。

お客様は「自動で脱骨したい」という課題を持っていましたが、手作業が当たり前になっていたので、課題が見えなかったのです。

前川製作所のセールスは、正しい問いを見つけ、自分でその問いに対する答えを作ることで、ヒット商品を生み出したのです。

商品開発では、まず探すべきは「正しい問い」なのです。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

「独立すべし」「会社員が楽」どちらが正しい?

「独立すると、楽しいよ」
「会社員の方が楽じゃないの?」

会社に勤めていると、こんな話をすることが多いのではないでしょうか?

「独立すべし」派の意見は、こんな感じでしょうか?

・上司がいない。誰からも指示されないし、怒られない
・自分が好きなことができる
・通勤電車に乗らなくてもいい

「会社員が楽」派は、こんな感じだと思います。

・毎月給料が出るので安心
・独立して生きていけるか不安。家族もある
・会社の看板で仕事ができる

私は新卒で日本IBM社員になり30年過ごし、独立して6年間経ちました。
両方経験した私の意見は、「どっちも正しい」です。物事は全て両面があります。

独立すれば自由が得られます。
「自由」の英語はfreedomとlibertyの2つがあります。
何にも束縛されずに自由な状態が、freedom。責任は伴いません。
束縛から解放された状態が、liberty。これは勝ち取るもので、責任も伴います。

独立して得られる自由はlibertyです。何でもできますが、必ず責任が伴います。

会社員は問題が起こっても会社が守ってくれます。
成果が出なくても、給料が出ます。
会社の看板もあります。私もIBM社員の名刺を渡せば、会う人は「ああ、IBMにお勤めですか」と言ってくれました。

ただし会社員は会社のルールに従い、会社の方針で仕事する必要があります。上司も選べません。飲み屋で「上司が全然わかっていない。こんな会社辞める」と言う人がいます。気持ちはわかりますが、そもそも会社員とはそういうもの。転職しても同じ状況が起こります。

独立したら、すべて自分で守り、問題は自分で解決する必要があります。
お客様も自分で見つけて、お客様に満足していただく必要があります。
会社の看板は、使えません。

そして成果が出なければお金は入ってきません。これは会社員には実感できないかもしれません。私も独立前は実感できませんでした。

私が心底これを実感したのは、独立後です。
会社員時代には、毎月24日に給料振込がありました。
独立したら、24日になっても何も振り込みがありません。
当たり前のことですが、これは心細いものです。「これから自分で稼ぐ必要があるんだな」と心底実感しました。

すべて自己責任ですが、いいことも沢山あります。
まず通勤がなくなります。独立後、私はいかに通勤で時間を使っていたかを実感しました。
私は通勤で往復3時間かけていました。1日24時間しかない中、この時間を全て他に使えるのは実に大きいですね。この半分を睡眠時間にすれば、それだけ健康な生活ができます。

私は人に指示されるがとても嫌なので、会社員時代は上司に「こんな仕事をします」と提案し、認めてもらっていました。
独立後は、認めてもらう必要もありません。やりたいようにやっています。

独立したら上司の代わりにお客様がいます。でもお客様は、自分で選べます。
自分が力が発揮できないようなやりたくない仕事はストレスがかかりますが、辞退できます。
これは仕事が楽になる、という意味ではありません。
挑戦レベルが高くて、自分が成長するような難しい仕事は受けるべきでしょう。
しかし難易度とストレスは違います。難しくても挑戦しがいがある仕事は、あまりストレスにはなりません。

「独立した方がいい」も「会社員が楽でいい」も、実は同じ事を言っています。
会社員の方が確かに経済的にはリスクは少ないですが、独立して自分で責任を持つことでより自由にできストレスも減るのです。

「人生100年時代」です。
これからの私たちに必要なのは、自分の100年間を充実させるためのマーケティング戦略だと思います。

会社員として1つの会社に勤めれば、最大でも40年間。会社自体が消えることも多い時代です。
選択肢が会社員しかなければ、戦略の打ち手が限られます。
独立の選択肢があれば、戦略の打ち手は格段に増えます。

そのためには、独立しても通用する個人の力を身につけることです。

たまたま私は、30代前半の頃から「50歳になったら独立しよう」と考え、36歳の時にマーケティングの仕事を選び、10年以上かけて社外でも通用する実践的なマーケティング戦略力を身につけることができ、51歳で独立しました。

しかし会社員時代、常に独立を考えていたわけではなく、頭の片隅にあった程度でした。
50歳を過ぎて独立の後押しになったのは、講演や研修を依頼してきたお客様がいたことです。
会社員のため平日の仕事は受けられなかったので、土日祝日に無報酬で対応していました。本業と執筆がありましたし、この頃は大学院の授業を担当していたので大変でしたが、独立後の勘は養えました。

会社員の方は、まずは独立の選択肢を頭の片隅に置いて仕事をしてみてはいかがでしょうか?
もし会社の仕事とは別に、あなた個人に仕事の依頼があれば、それは「独立していい」というシグナルかもしれません。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。

 

 

企画書は人格

仕事柄、様々な企画書を沢山見る機会があります。

前職の日本IBM社員時代は、マーケティング専門職のプロフェッショナル認定試験で、認定審査担当をしていました。この時は、各事業部のマーケティング戦略担当者が作った企画書のプレゼンをレビューしました。

事業戦略担当の時は、IBMの様々な事業部の事業戦略をまとめた企画書を徹底的に読み込み、one IBMとしてどのようなシナジーを生み出すかを考えたり、人材育成戦略にどのように展開するかを考えました。

会社員をやめて独立した現在は、クライアント様企業が作成したマーケティング戦略をどのようによりよくしていくかを、一緒に考えています。

 

このようなことをしていて実感するのは、企画書には人格が映し出されるということです。

たとえば、

・「コレを絶対やりたい!」という熱いパッションが感じられる企画書。
・現場目線を徹底して作られた企画書。
・周到に本質を考え抜き、シンプル骨太なコンセプトがまとまった企画書。
・顧客や社員への愛情が感じられる企画書。

…という企画書もあれば…。

・顧客目線がまったく欠落している企画書。
・膨大な時間をかけたものの、過剰な根回しの結果、狙いが絞れていない企画書。
・どこかで見たようなことしか書いておらず、自分の頭で考えた形跡が見えない企画書。
・何をやりたいのか、何を目指すのか、よくわからない企画書。
・思いつきで相互の脈絡がない企画書。

…という企画書もあります。

 

頭の中で考えた末の結果が、企画書です。
その人のビジネススキルと思考のクセが反映されているのが、企画書です。

企画書を見れば、その人の人格と能力が、かなりの程度、見えてきます。

たかが企画書ですが、されど企画書。

怖いですね。

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。