「運も実力のうち」の本当の意味


よく「運も実力のうち」といいます。

スピリチュアルな感じもしますが、これをマジメに研究した人がいます。 英国の心理学者リチャード・ワイズマンです。

ワイズマンは、いつも運がいい人と運が悪い人がいることに興味を抱きました。そこで8年間かけて数百人の運がいい人と悪い人に対してインタビューを続けて、実験したのです。

当初ワイズマンは「もしかしたら、運は予知能力ではないか?」という仮説を考えました。

そこで、運がいい人と悪い人700名に宝くじの当選番号を予想してもらいました。結果は、当選率はまったく同じでした。運は予知能力ではなかったのですね。

しかし実験で発見がありました。運のいい人は、運の悪い人の2倍以上「当選する自信がある」と答えていたのです。

そこでワイズマンは「運は自信と関係があるのでは…」と仮説を変更。考え方や行動を分析し始めました。

その結果、発見した次の4つの法則を、著書『運のいい人の法則』(Kadokawa)にまとめています。(拙著『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』では43冊目で紹介しています)

【第1法則】チャンスを広げる … 運のいい人は、日常生活で「運のネットワーク」を広げています。多くの人と出会い、偶然のチャンスに出会う確率を高めているのです。要は人付き合いがよく、人から好かれる仕草や表情で人を惹き付けるということです。

【第2法則】直感を信じる … 運のいい人は自分の直感に頼ります。直感は驚くほど頼りになります。運の悪い人は自分の直感を無視して後で悔やみます。ここで必要なのは、「これ、何となくヤバいことになりそうだなぁ」という「虫の知らせ」を無視しないということです。「虫の知らせ」とは、いわば「ヤバそうなコトのセンサー」のことですね。

【第3法則】幸運を期待する … 運のいい人は楽観的です。「不運は長続きせず、すぐ終わる」と考え、少しでも可能性があれば努力し、手を替え品を替えて挑戦します。運の悪い人は、逆に「幸運な出来事はすぐ終わり、不運が起こる」と考え、悲観的です。失敗すると思い込み努力も工夫もせず、失敗が現実になります。

【第4法則】不運を幸運に変える … 著者の「銀行強盗に遭遇し腕を撃たれた。運がいいか?悪いか?」という質問に、運の悪い人は「質問が変だ。運が悪いに決まってる」と即答。しかし運のいい人は「幸運。頭だと即死だ。腕でよかった」と答えました。運のいい人は、悪いことがあってもより不運な可能性を考えてダメージを減らし、将来に高い期待を抱いて幸運になります。運の悪い人は、運のいい人と自分を比較して嘆き、ダメージを引きずります。

この4つを改めて眺めると、「あの人、何か持っているよね」という人は、大抵この通り行動している人が多いことに気付きます。

これら4つの法則は、マーケティング戦略の実践で、仮説検証を繰り返していく場合でも、大切な心得ですよね。

第2法則の「直感を信じる」のは非科学的に思えるかもしれません。しかしこれは、今年1月2日に当ブログ『商品開発では、お客様に問うな。自分に問え』で書いた、『自分に問い続けて直観を掘り下げろ』ということでもあります。

本書は自分の幸運のスコアを診断できるテストも付いています。私は第2〜4法則はハイスコア、第1法則は普通でした。「人付き合いを広げると、もっと運がよくなる」という診断でした。

私たちも意識して考え方や行動を変えることで、「運のいい人」になれるのです。

 

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