かつて、海外から「ウサギ小屋」と揶揄された日本の家。
私は二十歳までは、45平米の団地に両親と妹の4人で住んでいました。
一時期は叔父が半年ほど一緒に住んだり、従兄弟が1年住んだりで、5人になった時期もありましたし、2週間大柄なアメリカ人2名を預かって6人になったこともありました。
当時は当り前と思っていた広さでしたが、仕事で疲れて寝ている父の枕元で、小さい音でテレビを見ていたりしていました。
45平米に5人とか6人も住む状況は、今からふり返るとなかなかなものでしたね。
「広く大きな家に住みたい」というのは、昔からの願望でした。
ということで、私はこれは日本人にとってかなり普遍的なニーズだと思い込んでいました。
そんな私にとって、4月16日の日本経済新聞朝刊の記事「自宅心地よい狭さに、小さく建て替え、大胆にリフォーム、建築価格下落も追い風」という記事は、とても新しい発見でした。
—(以下、引用)—
中高年の間で一戸建ての自宅を小ぶりに建て替える人が増えている。子どもの独立などで家族の人数が減ると、狭い方が生活が楽なためだ。…500万円台の住宅が登場するなど価格の下落でハードルも低くなったようだ。
…アキュラホームが昨年4月に売り出した際は、30歳代の子育て夫婦を見込んでいた。ところが2月末までに実際に受注した90棟のうち60歳代が22棟で最も多かった。同社によれば「管理のしやすさを考えて狭い住宅に建て直す高齢者が多い」。
…ミサワホームが2008年に発売した平屋建て住宅「スマートスタイル・エー」。70平方メートル前後の延べ床面積で1100万円台からとプレハブ住宅としては割安で、09年度の販売実績120棟のうち3割は60歳代以上だった。
…住友林業ホームテック(東京・千代田)は「高齢者でリフォームする人は住みやすさと同時に、耐震性を重視しているようだ」と話す。
…一戸建ての住宅を小さくする「減築」は今後、じわじわと広がりそうだ。野村総合研究所が首都圏に持ち家のある55歳以上を対象に昨年実施した調査では「減築をした」人は0・6%にとどまるが、「減築したいと思っている」人の割合は5%だった。
—(以下、引用)—
これは全く新しい市場ですね。
55歳以上の世代の5%が潜在市場だということなので、市場サイズを計算してみました。
日本人の人口:1億2000万人
55歳以上の人口数:40%強として、上記の40%強の5000万人
55歳以上の世帯数:2人で1世帯と見積もって、上記の半分の2500万世帯
潜在顧客は5%:上記の5%の125万世帯
市場サイズ:小さめの価格500万円 x 潜在顧客125万世帯 = 625億円市場
年間で見るために、えいやで5-6年くらいで割ると、年間100億円程度の潜在市場規模があるということですね。
このように考えてみると、まさにニーズがあるところに、市場あり、ということを実感します。