東京オリンピックが開催されたのは、51年前の1964年。日本は高度成長期の入り口にさしかかっていて、様々なイノベーションが生まれました。
開催直前、オリンピックの来場客のために、ホテルニューオータニが急ピッチで建設されていました。
ホテルニューオータニは、着工後1年以内の完成が求められていました。
しかし各部屋で行う浴室工事は、当初1年半かかると見込まれていました。
従来どおりの方法でやっていては、まず間に合いません。
そこで東洋陶器(現TOTO)と日立化成工業(現ハウステック)により新たに開発されたのが、ユニットバス工法。
工場で浴室の部品を成形し、工事現場で組み立てるというイノベーションが生み出されました。
この結果、浴室工事はわずか3ヶ月で完成できるようになり、ホテルは無事納期までに完成できました。
この様子は、TOTOのサイトでも紹介されています。
今ではユニットバスの普及率は90%。
このユニットバスも、東京オリンピックがきっかけで世界に先駆けて生まれたのです。
ゲリー・ハメル著「経営は何をすべきか」に、次のような一文があります。
「イノベーションと変革への意思は情熱から生まれる。つまり、現状に対するもっともな不満の産物なのである」
ユニットバスも、まさに大きな課題への挑戦で生まれた不満の産物です。
一見無謀に見えるような「顧客の課題」ほど、大きなイノベーションに育つ可能性があるのです。
「顧客の課題」は、まさにイノベーションの母なのです。