日経MJで、牛丼業界における価格と価値について、コメントを掲載いただきました


牛丼

昨日2015/5/13発行の日経MJ(旧・日経流通新聞)の記事「牛丼、300円台、常連2割の乱―会社員、懐厳しく、牛丼各社、顕著に客離れ、根強い 節約志向」で、コメントを掲載いただきました。

 

円安による原材料価格上昇や人件費アップで、長らく200円台の価格競争を繰り広げていた牛丼業界は価格アップを余儀なくされています。

価格アップに伴い、すき家は20%増量する商品リニューアルも同時に行ったりしていますが、客足は遠のいています。同記事によると、すき家の4月の来店客数は昨年同月比13.7%減。吉野家の来店客数も3月は昨年同月比18.4%減、4月は16%減でした。

厳しい状況ですね。

 

数日前の5月11日に当ブログ「価格を上げつつ、顧客離れを防ぐ方法は、一つしかない」でも書いたように、価格を上げて顧客離れを防ぐには、価値を上げるしかありません。

記事では、1960年代の米国コーヒー業界を例に、価格競争から価値競争へシフトした事例をお話ししました。ファーストウェイブからセカンドウェイブへの移行ですね。

 

他にも事例があります。

吉野家が昨年販売を開始した630円の「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」は、まさに価格を上げて価値も上げた事例です。(→詳しくは2014年12月16日の当ブログエントリー「価格勝負から価値勝負へのシフトのカギは、「吉野家らしさ」の追求が出発点だった」を参照ください)

消費税増税に際して「安くはないけど高品質」が売りのセブンプレミアムの品揃えを強化したセブンも、価格を上げて価値も上げた事例です。

 

果てしない価格勝負の果てには、市場縮小と、それに伴う企業の大絶滅しか待っていません。

価格を下げて価格勝負するのと比べて、価格と価値を上げて価値勝負をするのは簡単ではありませんが、どのように価格勝負を徹底的に回避して価値勝負に持ち込むか、常に考えていきたいものです。