講演後の質疑応答。ご意見をいただきました。
参加者「要は、『お客様が買う理由』を作るには、『お客さんが必要としていて、他社が提供できない、自分たちだけの価値を考え抜け』ということですか?」
永井「はい。おっしゃるとおりです」
参加者「うーん。お客様から無理難題を言われ、とても苦労しているのが、営業の現実です。『お客様が買う理由』なんて都合のいいものが作れれば、こんな苦労しないんですけどね。それは理想論ではないでしょうか」
これは、ある意味で、実に正しいご意見です。
お客様から無理難題を言われ苦労しているのは、『お客さんが必要としていて、他社が提供できない、自分たちだけの価値』が提供できていないから。そのような状況で苦労しても、必ずしも報われないことも多いのです。
同じ苦労をするのならば、『お客様が買う理由』を作ることで、報われる苦労をしたいですよね。
立場を変えてみるとわかると思います。
店頭で販売員や営業に、「これいいですよ!」といくら勧められても、乗り気になっていなければ、買わない人がほとんどです。
逆に「あの商品、欲しいなぁ」と常に思うような商品なら、少々高くても買う人は多いのではないでしょうか?
後者が、『お客さんが必要としていて、他社が提供できない、自分たちだけの価値』を創り出し、『お客様が買う理由』を生み出している状態です。そのような商品は、「売る」ことに注力しているのでなく、「欲しくなる」ことに注力しています。
言い換えれば、「いかに売るか」というセールス視点から、「いかに買う理由を作るか」というマーケティング視点へ、発想を転換することが必要なのです。
かつての大量生産・大量販売の時代だった高度成長期は、「いいモノを作れば売れた」ので、「いかに売るか」という発想が有効でした。
しかしモノが余るようになり、ニーズが微細化・ナノ化した現代では、「いかに売るか」だけを考えても消費者は振り向いてくれません。だから「いかに買う理由を作るか」というマーケティング視点がますます大切になっているのです。
このように考えると、「『お客様が買う理由』を作れれば、理想だし、苦労しないよ」というご意見は、まさに本質を理解したご意見なのです。
重要なのは、それは「単なる理想」ではなく「実現すべき理想」であること。
そして、ちゃんと方法論が存在するということ。ポイントは当ブログでも繰り返しお伝えしている通り、
「自分たちの強みの見極め」
→「顧客の絞り込み」
→「継続的な試行錯誤」
なのです。