ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な理由


こんなことでお悩みの方は少なくありません。

「ウチの商品力が弱い。
 全然売れない…」

でも、問題は本当に商品力でしょうか?

世の中を見ると、ライバルと同じ商品を売っているのに、高収益な会社は少なくありません。

 

たとえば、生命保険(生保)代理店のケースで考えてみましょう。

生保代理店ビジネスはこんな特徴があります。

・商品は、どこも同じ
・立地条件も、大差なし
・販売している人材の質も、大差なし

だからいかに差別化するかがポイントになります。

また、代理店は365日保険のことを考えています。
しかし、お客様は、保険のことはほとんど考えません。「不要」と思っている人もいます。

いかにお客様と関わるかが大切になってきます。

 

千葉県にある保険代理店「ほけんプラザエイプス」(以下、エイプス)のお取り組みを例に、考えてみましょう。

千葉県で35年間の実績があるエイプスは、社員28名。千葉県の金融機関239社中、財務安定性は6位の優良企業です。社長の田切さんにお話を伺ったことがありますが、冒頭、こうおっしゃっていました。

「特別なことはしていません。
誰でもできる、当たり前のことをしているんですが…」

田切さんは、お客さまと会っても保険の話は一切しません。たとえば運送業の経営者と出会うと、こんな話をします。

「運送業の労務管理って、時間管理じゃないですよね」

運送会社は、労務管理が後回しになってしまっている会社が多いのです。運転手の仕事は、A地点からB地点に荷物を運ぶこと。労務管理というと「まずはタイムカード」となりがちですが、これでは労務管理はできません。運送会社の経営者はこう答えます。

「そうなんですよ。わかっていますね!」

しかし田切さん自身が解決策を持っているわけではありません。そこで社労士の先生を招いて経営者と共に勉強会を行って課題解決を図ります。

さらに会社は、労務以外にも、会計・法律など様々な問題を抱えています。そのたびに田切さんは司法書士・会計士・弁護士などを招き勉強会を行います。
経営者は自社の懸案課題が解決できて助かりますし、士業の先生も田切さんが顧客を紹介してくれるので助かっています。この時点でも田切さんは保険の話は一切しません。

そのうち経営者と田切社長との間で、こんな会話が始まります。

「田切さんは保険屋さんですよね。当社はこんな保険に入っているんですけど…」
「この状況なら、こっちの保険商品がいいですよ」

田切さんは、その会社の課題や経営状況を熟知しているので、その会社に最適な保険もわかるわけです。しかしこの段階でも保険は勧めません。

「ご担当の保険代理店さんに、商品を変更するようにお願いするといいですよ」

ここでほとんどの経営者はこのように答えます。

「田切さんの会社も、この保険を扱っているんですよね」
「ええ、そうですよ」
「また田切さんに確認するのも手間ですから、…エイプスさんに保険を切り替えます」

生保代理店はどこも同じ保険商品を同じ価格で扱っています。だからこそ自分の課題を充分に理解して、自分に最適な商品を選んで提案してくれる生保代理店の方がいい。
考えてみれば、当たり前のことですよね。

どこも同じ商品を扱う生保代理店だからこそ、お客さまの課題理解が出発点なのです。

 

他業界の事例を紹介しましょう。
講演である県に出張したときのお話です。そこで会った教材販売業のお客様に会いました。

教材販売業の特徴も、生保代理店に似ています。

・商品は、どこも同じ
・顧客は小中学校(お金はそれほどない)
・立地条件はどこも同じ

だからいかに差別化するかがポイントになります。

この会社は、この県で粘土細工教材のシェアが実に90%だそうです。独占ですよね。同業他社も同じ商品を扱えるのに、なぜシェア90%なのでしょうか?

秘密は、粘土工作授業の手引き書を販売していることです。
小中学校の先生方の悩みは、超多忙なことです。課外指導があったりして、翌日の授業の準備がいつも大変です。そのため、慢性的な残業が発生しています。
校長先生の悩みは、「なんとか先生方の残業を減らせないか?」
粘土工作授業の手引き書があれば、授業準備の負担は大きく減らせます。

「事前準備しなくていい?それに決めた!」

ということになるわけです。

 

共通するのは、「お客様が買う理由を作っていること」。

これに尽きます。

その際に重要なのは、ターゲットとするお客様のお悩みです。

 

たとえ同じ商品を扱っていても強い商品力が宿るのは、ターゲットのお客様のお悩みを徹底的に考え抜いた結果なのです。

 

 

 

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