小池さんの強みは、「潮目を見切る勝負勘」だけではない



(写真は都庁サイトより引用)

 

衆議院選挙に向けて、急に世の中が慌ただしくなってきました。

安倍さんは今夏に事前調査し、「今の情勢なら勝てる」と判断して衆議院解散を決めた、と言われています。

しかし9月25日に小池さんが「希望の党」を立ち上げ、事前根回ししていたと言われる民進党が呼応し、本稿を書いている10月2日時点で一大勢力となりつつあります。

 

小池さんは「潮目を見切るセンスが抜群」「勝負感が鋭い」と言われています。
しかしそれだけではありません。
それは、私たちビジネスパーソンにとっても、大きな学びがあるのです。

あなたの同僚やお知り合いでも、正確に世の中の動きを見極めている人は、何人かお心当たりがあると思います。実際に潮目を読み切れるだけならば、そういう人は少なくありません。

しかし潮目を見極めた上で、実際に行動に移せる人となると、途端に数はガクンと減ります。多くの人は、潮目を読み切ってもリスクを考え、行動を躊躇してしまうのです。

潮目を見切った後、初動までの判断が極めて短いのが、小池さんの強みの本質だと私は考えています。

昨年桝添さんが東京都知事を辞任後、都知事選の自民党候補がなかなか決まらないと見るや、小池さんが「後出しじゃんけん」で都知事選出馬を公言し、自民党の公認が得られないとわかると、「崖から飛び降りる覚悟で」非公認で立候補した時も、同様でした。

 

モノゴトが変わるスピードは、ますます速くなっています。
だからこそ、潮目を見切った上で、初動までの判断の短さが、勝負を決するのです。

小池さんが愛読する書が、「失敗の本質」 です。
「失敗の本質」では、第二次世界大戦で日本軍が負け続けた要因を分析しています。共通する要因は、

「事実を客観的に見ようとせず、合理的に判断しない」
「個人が責任を持たないので、判断のスピードが遅く、タイミングを逸する」

このために、「トップが責任を持って、合理的、かつ迅速に判断する」米軍に負け続けました。

 

組織の空気のしがらみに囚われ、合理的な判断ができず、タイミングを逸しているのは、低迷する多くの日本企業にも共通する要因です。

「判断して即動くべき時に、リスクを取れずに判断を保留してしまい、動けない」

その結果、せっかく目の前に大きなチャンスがぶら下がっていても、それをライバルにみすみす取られてしまのです。

 

これを克服するのが、初動への判断の短さ。言い換えれば、事実に基づいた迅速で合理的な判断です。そして「リスクよりもメリットの方が大」と判断したら、即実行です。変化が激しい現代では、初動への判断の短さこそが、多くのデメリットを帳消しにする絶大な武器になり得るのです。

初動への判断が短いから、小池さんは「勝負師」と言われるのです。

 

小池さんには、「政局で動いており、政策がない」との批判もあります。
この議論はひとまず保留した上で、私たちビジネスパーソンが小池さんから学べることは、多いはずです。

(なお本稿は、私の支持政党とはまったく関係ありません。また選挙結果を予測するものでもありません)

 

 

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