中国は「低コストの世界の工場」から抜け出し、ドローンやシェアライド、さらにキャッシュレス社会といった新しいビジネスを生み出し、経済は成長しています。一方で、日本は今ひとつ元気がありません。
私はIBM在職中、中国の人たちと仕事をすることも多かったのですが、「彼らのビジネススタイルからは、学ぶべき点が多い」と実感しています。
たとえば1998年のこと。
当時の中国IBMは、日本I BMや韓国IBMよりもずっと小さい売上でした。
私はIBMアジアパシフィックで、ある製品のマーケティング担当でした。
中国IBMで事業責任者だった中国人女性の口癖は、「中国ビジネスを成長させたかったら、投資!投資!投資よ!」
常に投資を求めてきました。荒唐無稽なプロジェクトも多く、失敗も繰り返していましたが、彼女は失敗しても堂々としています。アジアパシフィック全体会議でも、こう言い切ります。
「私たちの実行はまったく問題ない。原因は〇〇〇だ。だから次は、□□□をして欲しい」
そして彼女の中国事業は、次第に成長してきました。
ちなみに彼女はIBM社歴20年でしたが、その後、「IBMは大きいわね。意志決定が遅すぎ!嫌になったわ」と言って退職し、香港にあるベンチャー企業の社長になりました。
一般的に中国人は、日本人が当惑するほど個人のエゴが強いのですが、裏返せば、「私はこれをやりたい」という考えが明確でシンプルだということ。 そしてダメモトですぐに実行します。
日本人の私から見ると、「危ないなぁ」「これはダメでしょ」と思うことでも挑戦し、ダメとわかると即原因を特定し、即修正します。前言撤回は日常茶飯事。やり方もどんどん変えるし、ハシゴを外されることも少なくありません。しかし当初の「これやりたい」という強い意志は決してブレません。そしていつの間にかうまくいきます。
彼らはダメモトで始め、試行錯誤を執拗に繰り返し、いつの間にか成功させるのです。
2016年、上海を中心に中国各地で始まったシェアライドも、瞬く間に1億台も普及し、1年後の2017年には市民の足となって大成功しています。その裏には膨大な失敗があります。しかし数多くの失敗から率直に学び続けて、ビジネスを急拡大させているのです。
中国のやり方をすべて真似する必要はありません。日本人には日本人ならではの良さもあります。
一方で、現代はもの凄いスピードで動いています。日本人が好きな根回しや計画に時間をかけすぎていては、縮小するばかり。だからこそ、「やりたいこと」を明確に持って、ダメモトで挑戦して学ぶ彼らのやり方からは、学ぶべき点が多いと思います。
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