なぜ経営幹部は「要は、何なんだ?」と言うのか?


社内外を問わず、経営幹部へプレゼンしている最中に、こう言われた経験がある方は多いのではないでしょうか?

「で。言いたいことは、要は何ですか?」

予想もしなかった質問に、「そもそもは、ですね…」と詳しい経緯の説明を始めてしまい、ますます相手が「?」な顔をしてドツボに嵌まってしまう、という方も少なくないかもしれません。かく言う私も、散々そんな経験をしました。(お恥ずかしい…)

この原因は、経営幹部のことを勘違いしているからです。
多くの人はこう考えて、経営幹部へのプレゼンの準備をします。

「相手は偉い人だ。完璧に準備しよう」
「完璧を期すために、資料は詳細に」
「偉い人だから、すぐにわかる筈」

こうして情報がミッチリ小さい字で詰め込まれた、非常にボリューム感たっぷりのパワポ資料が出来上がります。

一方で、経営幹部はこんな状態であなたのプレゼンを聞いています。

(今朝からこれが8回目の会議だな。疲れたなぁ)
(この後は、役員会だっけ。社長にあの件を報告か。気が重いな)
(あの懸案も未解決だな。あの件も今日中にA部長に確認しなきゃ)

要は朝から仕事が詰まっていて、頭の中で様々な案件を抱えているワケです。
こんな状況で、みっちりと小さい字で書かれたボリューム感あるパワポ資料を見せられたら、どうなるでしょう?

(おいおい。こんなの見せるなよ。ちゃんと整理して見せてよ)

誰だってこう思いますよね。で、こう紳士的におっしゃる訳です。

「で。言いたいことは、要は何ですか?」

ここまでわかれば、解決策がわかると思います。
要はわかりやすく、伝えたいことが相手の頭の中にスーッと入っていくような資料を作ればいいのです。

そのためには資料を作る人が、ちゃんと情報を整理して、シンプルにする必要があります。たとえばパワポ資料を作る場合、

・最初にプレゼン全体で何が言いたいかを、箇条書きで4〜6行程度にまとめる。
 たとえば「問題点→その原因→提案(=解決策)→費用→経営幹部への要望」という感じです。
・その箇条書きに沿って、チャートの順番を見直す。
・不要なチャートを削除し、重複するチャートを一つにまとめる
・詳細すぎる情報(細かいデータ)は見せない。洞察とカギとなる数字だけ示す。
・チャート上の重複情報は一つにまとめる。
・テキストは28ポイント以上の大きな文字で、1行十数文字程度で書く

要は、情報を増やすのではなく、徹底的に削りに削り落とすこと。
目安としては、その業務を全く知らない家族に話しても通じるレベルまでわかりやすくすること。
こうすれば「要は何ですか?」と言われなくなります。

ちなみにアマゾン社内ではパワポは使用禁止。ワードを使ってA4で基本1枚(大がかりなプロジェクトだと6枚)でまとめるルールになっており、会議の冒頭は、全員がこの文書を読む時間だそうです。部下から毎日膨大な報告を受けるジェフ・ベゾスが「何を言いたい資料か分からない」と怒って、この方法を始めたと伝えられています。

経営幹部の立場に立って考えれば、「要は、何なんだ?」と言われることは少なくなります。

 

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