マネジャーは「テコ」を使い倒せ


IBMでマネジャー研修を受けた時のこと。「マネジャーの仕事とは何か?」という問いに対する答えとして、こんな言葉が心に残っています。

「人によるパフォーマンスの最大化」
Maximize performnance through people

ビジネスパーソンで必要なのは、マネジャーになる前ならば自分自身の仕事のパフォーマンス最大化です。

しかしマネジャーになると、部下を通して実務に関わります。
だから「人によるパフォーマンスの最大化」なのです。

では具体的に、いかにこれを実現すればいいのでしょうか?

インテル創設メンバーでありCEOや会長も務めたアンディ・グローブは、名著「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」で「テコの原理を使え」と言っています。

テコは小さな力で大きなモノを動かすことができます。マネジャーが常にテコ作用を意識して日々活動することで、部下や関係者を通じて大きなアウトプットを生み出せます。

たとえば部下から相談を受けたら、「○○さんにお願いしておくよ」
あるいは部下が悩んでいたら、「こうしたらいいんじゃない?」
さらにはチームに声をかけて、「皆で集まって考えよう」

マネジャーのこんなちょっとした仕事で、部下の仕事のアウトプットが増幅されます。

このためにマネジャーは日々情報収集を欠かさず行う必要があります。グローブは本書で自分のある一日の仕事を紹介しています。

次々と人に会い、相談に乗り、会議に出席し、電話で話し、手紙やレポートを読んでいます。一日のほとんどの活動が情報収集。話し、電話し、読み、会議に出るのは、すべてよい意志決定をし、テコを使ってチームのアウトプットを最大化する上で、貴重な情報源なのです。

私がIBMのマーケッター修業時代に仕えた部長は、仕事のことは何でも熟知していました。彼は日頃から多くの人たちとちょっとした会話をして情報収集に余念がありませんでした。そうして得た深い知識に基づいた意志決定やアドバイスは実に的確。まず間違いがありませんでしたし、ちょっとしたひと言で、いつも助けていただきました。

逆にマネジャーが仕事を抱えるとテコが効きません。組織のアウトプットも低いままです。徹底的にテコを使い倒すべきなのです。

そしてテコの原理は、部下を持たなくても使えます。他人に影響を与えることができればいいのです。

あなたはテコを使っていますか?

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。

Twitterでも情報発信しています。