「10年前に挑戦してよかった」となるために


「もう○○歳だから、いまさら挑戦するなんてムリだよなぁ」

こんな言い方したりすること、多いですよね。
○○は、いろいろな数字が入ります。

「もう30歳だから、いまさら新しい仕事に挑戦するのなってムリだよなぁ」
「もう50歳だから、いまさら英語に挑戦するなんてムリだよなぁ」
「もう60歳だから、いまさら新しい仕事に挑戦するのなってムリだよなぁ」

そしてその10年後、たいていこう思います。

「10年前に挑戦しておけばよかった」

でも10年前の時点では、なかなかこのように頭が切り替えて決断ができません。

「10年前に挑戦してよかった」となるためには、どうすればいいのでしょうか?

ここで参考になる本があります。

「プロフェッショナル・マネジャー」(ハロルド・ジェニーン著)

ファーストリテイリングの柳井正社長が「これが私の最高の教科書だ」と絶賛する一冊です。

30代中頃にユニクロを中部地方で数店舗展開していた柳井さんは、ジェニーンのこんな言葉に衝撃を受け、「経営者として自分はまだまだ未熟だ」と痛感したそうです。

「経営は、終わりから始めて、そこに到達するために、できる限りのことをせよ」

当時の柳井さんは「カジュアルウェアの郊外店、面白そうだな」と思ってユニクロを始めて、未来の具体的な姿を描かないまま、「このままやっていればうまくいくんじゃないかな」と思っていたそうです。

そこで
「①世界一になる」
「②その前に、日本一になる」
「③その前に、売上1000億円になる。その時に、経営陣を一新する」
「④その前に、100店舗を展開して株式上場する」

と考えた上で、
「⑤いまは中国地方に数店舗。④を実現するために何をするか?」
と考えました。ユニクロの快進撃はここから始まったのです。

この「未来のある時点に何になりたいか?」と考えて、逆算して今何をするかを考える方法は、私たち個人も使えます。

①今から10年後、自分はどうなりたいかを考えてみる。
②そのためには、5年後にどうなる必要があるかを考えてみる。
③そのためには、3年後にどうなる必要があるかを考えてみる。
④そのためには、いま、何をすればいいかを考えてみる。

このように考えれば、

「もう○○歳だから、いまさら□□□するなんてムリだよなぁ」

と考えることもなくなりますし、

「10年前に挑戦しておけばよかった」

と悔やむこともなくなります。

ちなみに私は22歳に新卒で日本IBMに入社しましたが、実は「プロの写真家になりたい」という夢が捨てられませんでした。

そこで仕事に慣れ始めた24歳に、こう考えました。

「30歳までに都内有名ギャラリーで写真の個展を行う」

周囲からは、

「会社員でしょ。プロの写真家でも個展なんてできないのに、ムリムリ」
「あなた、月に残業200時間もやっているんでしょ。ムリムリ」

とバカにされましたが、「20代後半で写真展を行うとしたら、今何をすべきか?」と逆算して色々と準備をしているうちに、27歳、銀座キヤノンサロンで写真展を開催できました。

そしてこれがきっかけでプロの写真家は夢の世界でないと知り、「自分は写真が好きなのであって、写真で仕事をしたいわけでない」と分かり、プロの写真家として食っていくのはやめて、ビジネスの世界で生きることにしました。

これも写真展に挑戦したからわかったことですね。
もし挑戦していなければ、今も「あの時、プロの写真家を目指せばよかった」と思っていたかもしれません。そして写真はいまもライフワークとして楽しんでいます。

「いい歳して、新しい挑戦なんて…」と思う必要はまったくありません。

私も50歳で始めて人材育成の仕事に関わりましたが、今や人材育成は天職です。

何事も10年間続ければ、人間はかなりのことを達成できます。
「10年後の自分はどうありたいか」を考えて、どんどん挑戦を続けましょう。

 

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