マーケティングの基本「STPと4P」で陥りがちな罠


マーケティングの基本はSTPと4Pです。

しかし日本企業では、マネージャーや経営幹部レベルでも「STP? 4P? それって何ですか?」という人が多いのが現実です。

さらにSTPと4Pを考える上で、多くの人が陥りがちな罠があります。

そこでその「陥りがちな罠」について紹介する前に、そもそもSTPと4Pとは何かを紹介しましょう。

■STPと4Pとは何か?

STPでは、次の3要素に分けて「どの市場をどう攻めるか」を考えます。

セグメンテーション(Segmentation):市場をどのように細分化し…
ターゲッティング(Targetting):その中でターゲットにするお客を決めて…
ポジショニング(Positioning):そのお客にどう認識してもらうかを考えること。

このSTPが「戦略策定」です。そしてこのSTPに基づいて、具体的なマーケティングを実施するための施策が4Pです。

製品戦略 (Product):どんな価値を顧客に提供するのか?
プロモーション戦略 (Promotion): どうやって製品の価値を伝えるのか?
価格戦略 (Price):その価値にどんな値付けをするのか?
チャネル戦略 (Place):その価値をいかに提供するのか?

つまりSTPで「どの市場をどう攻めるか」を考えた上で、具体的に市場を攻める施策を4Pで考えるわけです。

マーケティングでは、このSTPと4Pを考えるのが出発点です。

海外の先進国にいるマネジメントレベルのビジネスパーソンにとっては、マーケティングは必須科目であり、この「STP+4P」の概念は普通に通じます。

なぜなら、商品開発戦略、営業戦略、さらに経営戦略をちゃんと考えるには、このSTPと4Pが必須になるからです。彼らにとってSTPと4Pは「読み書き算盤」なのです。

しかし先述のように、日本ではマネジャーレベルでも「STP? 4P? それっておいしいの?」状態。そこで私は企業向けマーケティング研修では、先ずSTPと4Pの考え方をお伝えした上で、自社の既存商品のマーケティング戦略をSTPと4Pで読み解くことを考えていただくようにしています。

ただここで大きな課題があるのです。

■STPと4Pを策定する前段階のプロセスがある

STPと4Pをしっかり考えて成果を生み出すには、次の4ステップが必要です。

【ステップ1】顧客の課題とターゲット顧客を考える
【ステップ2】STPを考える
【ステップ3】4Pを考える
【ステップ4】STP+4Pで相乗効果が出てるか、確認する

しかし実に多くの場合、ステップ1の「顧客の課題とターゲット顧客を考える」ができていないのです。具体的には、「顧客は誰なのか?」「何に困っているか?」が見えてこないのです。

マーケティングの出発点は「顧客視点」です。顧客が抱えている誰も解決できない「生の悩み」を発見して、誰よりもいち早く解決策を提供した企業が、市場で勝利します。

つまりSTPを考える前段階にあるのが「顧客の課題とターゲット顧客の把握」なのです。STPはそこで見つけた顧客の課題を、ブレイクダウンして表現したものなのです。

「いや、私はお客様の課題はよくわかってますよ。ただ表現していないだけです」とおっしゃる人も多いのですが、「では、お客様の課題を教えて下さい」というと、うまく説明できないことも多いのです。

実は「わかっているつもり」と「説明できること」の間には、大きなギャップがあります。「わかっているつもり」のことは、言語化できない限り、説明できないのです。そして多くのビジネスパーソンが弱いのが、この「顧客の課題を、わかりやすく表現できる言語化能力」なのです。

この「顧客の課題を、わかりやすく表現できる言語化能力」が弱いので、顧客不在の商品が量産されてしまうのです。

これはスキルです。スキルですから、トレーニングで鍛えることができます。

ですので、「顧客は誰なのか?」「何に困っているか?」を常に言語化した上で、考え続ける習慣をつけましょう

そこでマーケティング研修では、私は受講生の皆様に「お客様は、誰なのですか?」「そのお客様は、何にお困りなのですか?」と常に問いかけ続けて、自分の言葉で言語化するのをお手伝いするようにしています。

私のマーケティング研修を受講されるビジネスパーソンの皆様は、実は答えを自分の中に持っています。それを引き出すお手伝いをしているわけです。言わばマーケティングのコーチングですね。

そうして「ターゲット顧客」と「その顧客の課題」を、考え続ける習慣をつけていただくのです。

これができることが、強いSTPと4Pを考えて、強いマーケティング戦略を策定する出発点になるのです。

     

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