ドーナツ市場に再挑戦するセブン。ミスドはどう対抗する?


「セブンが来年2025年2月までにドーナツを全国販売する」というニュースが流れました。2024年9月に首都圏5,000店舗で販売したところ、2週間で240万個売上と好調だった結果を受けてのことだそうです。

でも、こう思った人もいるのではないでしょうか?

「あれ? そう言えばコンビニはついこの前まで、大々的にドーナツ売ってたよね。最近見かけなくなったけど」

2014年、コンビニ業界は大規模にドーナツを売っていたのです。

当時、ドーナツ業界でシェア8割を占めるドーナツ市場最強のミスタードーナッツ(以下ミスド)は、年間売上500億円弱。

このドーナツ市場に、セブンは「年間6億個/売上600億円」という販売目標を掲げて参入。ローソンとファミマも参戦。「ドーナツ戦争」とも呼ばれました。

コンビニとしては、コンビニの100円コーヒーのお供にドーナツは相性がいいので、合わせ買い需要が狙えるわけです。

ミスドは「ドーナツ市場では最強」とは言え、当時の店舗数は1,400店舗弱。
大手コンビニ3社の店舗数は、50,000店舗を超える規模で、ミスドの40倍弱。
大きな目で見ると、まさに弱者ミスドと、強者コンビニの闘いです。

当時、「さすがに専業のミスドは潰れるのでは?」と思う人も少なくありませんでした。

結果は?

コンビニドーナツは予想したほど売れませんでした。
2年後にはドーナツ特製の棚も撤去。ドーナツは単品売りになりました。

2014年当時、私もコンビニドーナツを買ったことがあります。
でも正直言って、味はイマイチ。「ドーナツを食べ過ぎるとカロリー過多だ。しょっちゅう食べられるわけではない。限られた数少ないチャンスでドーナツを食べるなら、美味しいミスドがいいな」と思いました。

つまり「専門店と比べて味がイマイチ」だったために、コンビニドーナツは失敗したわけです。ミスドは、死に物狂いでドーナツの強みを尖らせ続けました。

そして2025年、セブンは改めて、ドーナツ市場に再挑戦するわけです。

今回は、店内調理による「揚げたてドーナツ」を武器に展開するとのことです。一度発行させた生地を加熱後、冷凍して工場から各店舗に供給、店舗で揚げる最終工程を行い、ふわふわ食感と風味を維持する仕組みです。

さらにドーナツ以外にも、メロンパン・クロワッサンなどの温かい焼きたて風パンを提供します。

これらは恐らく、前回の反省を踏まえて施策ことだと思います。

この愚直な仮説検証がセブンの強みです。セブンはコンビニコーヒーも1980年代から挑戦を繰り返し、2010年代に5度目の挑戦となるあの「セブン・カフェ」で大成功しました。

2013年の「ドーナツ戦争」では、ミスドは防戦一方でした。コンビニでのドーナツ大量販売の影響でドーナツが飽きられてしまったこともあり、売上は2013年の488億円から、2019年は354億円と27%も減少。赤字が続き、不採算店舗の整理で店舗数も減りました。

しかしミスドはここを耐え忍び、ムダを徹底して省きました。2020年のコロナ禍でテイクアウト需要が起こると、店舗あたりの売上は2017年の6850万円を底に、2022年は9490万円まで伸びました。

結果としては、実質的にドーナツ市場から撤退したコンビニ各社に対して、ドーナツ市場を守り抜いたミスドの辛勝と言えるでしょう。

2025年、果たしてセブンのドーナツ市場への再挑戦は成功するのか?
ミスドはどう対抗するのか?

今後を見守りたいと思います。

     

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