
将棋のルールを変えれば、アマチュアでも藤井聡太さんに勝てる必勝法があります。変更するルールは次の2つです。
【変更1】対戦相手が最初に指す
【変更2】対戦相手が1手指すたびに、こちらは2手指せる
こうして2倍のスピードを獲得すれば、駒落ちでも余裕で勝てます。
「そんな話を聞いても、何の役にも立たないんだけど…」
と言われそうですが、この話を紹介したのには理由があります。
将棋のルールは変えられませんが、ビジネスのルールは、自分で自由に変えられます。ビジネスの場合は
【変更1】意思決定を「仮説思考」に切り換える
【変更2】仮説をすぐに実行して、実行結果から学ぶ
実際に、そうやって勝った事例は数多くあります。
【LINE】 東日本大震災直後、「被災地で情報共有が必要だ」と考えて、企画して2ヶ月後にβ版をリリース。一気に広がりました
【モデルナ】 新型コロナ禍で「mRFA技術なら短期間で開発可能」と考えて、製薬大手が通常ならワクチン開発で数年間かけるところを、数ヶ月で開発を終了しました
【ZARA】 競合は「これが売れるはず」と考えて企画して6ヶ月で店頭に並べるところを、ZARAは現実の市場をウォッチして「コレが最新流行」というより高精度の仮説に基づいて、2週間で店頭に並べます
【PAYPAY】 「キャッシュレスが一気に拡がる」と仮説を立てて、100億円キャッシュバックなどのキャンペーンを繰り出して、1000万ユーザー獲得まで通常なら競合が数年かけるところを、10ヶ月で達成しました
ビジネスでも仮説思考でライバルを圧倒するスピードを獲得すれば、様々な問題を解決できます。
仮説思考とは、「たぶんこれが正解」と仮説を立てて、実行して、結果を検証して学ぶ、ということを短いサイクルで繰り返すことです。
「仮説を実行すること」がポイントで、仮説は正解でなくても大丈夫です。間違っていればやっているうちに間違いとわかるので、わかった時に修正すればOK。
つまり仮説思考の本質は、間違い前提で、答えを先に決めて、まず動くこと。
ライバルがまだ計画フェーズで、既に動いているので、当然スピードは速くなります。スタートアップが爆発的に成長するのも、仮説思考で短期間にリソースを集中投入するからです。
しかし「間違えないように100%の正解を探そう」という考え方が身に染みついている多くのビジネスパーソンは、日々こんな感じで仕事をしています。実は、かく言う私もかつてはそうでした。
・まず徹底的に調べて漏れがないように、情報の収集する
・情報を分析する。情報収集を徹底した結果、情報も多いので、分析も大変
・分析を終えたら、企画を立案
・企画を立てたら、社内に根回し。課長→部長→本部長と根回し、プロジェクト承認をもらい、予算を獲得
・この時点で、情報収集から実行までに数ヶ月間、場合によっては1年かかる
こうしている間に、仮説検証でサクサク進むライバルは、市場でβ版を出し、顧客を獲得し、多くのことを学んでいます。
「間違いがないように100%の正解」という考え方が大事な場面もあります。
鉄道や原子力発電所のような社会インフラを預かる仕事は、完璧な安全が必要です。問題はそこまでの完璧さが必要ない仕事でも、100%の正解を求めることです。
例えば新規事業開発のようなケースでは、成功確率はそもそも高くありません。重要なのは完璧さよりも、迅速な対応です。
だからこそ「答えはたぶん○○」と考えて動く仮説思考が有効なのです。
あなたも、何か新しい仕事を始める際に「これはたぶん○○だな」と思うことはありませんか? それがまさに「仮説」です。
そこで、「たぶん○○」と考えたら、1時間程度で裏付け情報を取り、1時間程度でメモ1枚程度に言語化した上で、すぐに動いてみてはいかがでしょうか? それが、仮説思考です。
逆に「たぶん○○」の細かい裏付け取りに、じっくり数週間かけたりすると、貴重な時間が失われます。
仮説思考とは、学びの速度と回数を最大化する思考なのです。
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