石川県にある白山市をご存じでしょうか?
全国的な知名度はありませんが、実はとても奥深く、数多くのパワースポットがあり、そして若い女性観光客が急増中なのです。
北陸IBMユーザー研究会様への講演の翌日、金沢から少し足を伸ばして白山市に行き、多くの方々のご協力で見学して来ました。
そして白山市の観光への取り組みから、観光で「自分たちの強みを見つけて、ビジネスに繋げる」大切さを改めて学ばせていただきました。この白山市の取り組みは、観光振興を考える多くの地域にとっても、あるいは観光業以外のビジネスでも、参考になると思います。
そこで今回、写真を交えながらご紹介しながら、一緒に考えていきたいと思います。
今回の目的地は、白山市にある「鶴来」(つるぎ)という町。まず金沢市内にある北陸鉄道の野町駅に行きます。
ここで、今回の鶴来見学の準備でお世話になったJTB金沢支店の寺澤様(右)と、北陸鉄道の河崎次長(左)にお会いしました。
河崎次長より、「恋のしらやまさん」きっぷ一式をいただきます。電車一日乗車券・観光マップ・鶴来のバス乗車券・和菓子チケット・辻占チケットが、こんな形でセット販売されています。
この「恋のしらやまさん」とは、縁結びの神社である白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)(地元では通称「しらやまさん」と呼ばれています)にお参りし、鶴来の町並みや文化・歴史・味覚・パワースポット・人とのふれあいを堪能する旅行プログラムのこと。
どんな内容なのか、これから追ってご紹介していきます。
野町駅を出発し目的地の鶴来駅まで、単線で30分かけて、同乗いただいた河崎次長のお話しを伺いながら、向かいます。
2両編成の電車は、住宅地の間を縫うように走っていきます。金沢市を抜けて白山市に入ると、住宅はなくなり、車外には緑豊かな田んぼが広がります。
この野町駅と鶴来駅を結ぶ北陸鉄道石川線は、1916年に設立された金沢電気軌道株式会社が母体。間もなく創業100年になる歴史ある鉄道です。
この電車の正面には「恋のしらやまさん」というプレートがついています。
社内にも「恋のしらやまさん」のポスターがあります。
ピンクでハートの形をしたつり革もあります。これは1車両に1個しかないレアもの。これを掴むと幸せになれるそうです。
鶴来駅に到着しました。高倉健さんが似合いそうな、昭和の香り漂う風情のある駅舎です。
ここで観光協会の村田さん(一番左)と舟津さん(真ん中)と合流。河崎さんと3人の写真です。
ここで河崎さんと村田さんはお仕事に戻られ、この後は舟津さんにご案内をいただきました。
この日、舟津さんは大阪出張の予定でしたが、私の案内のためにスケジュール調整をしていただきました。本当に有り難いですことです。
まず横町うらら館に到着。180年前に立てられた町屋で、無料休憩所にもなっています。
中に入ると、なんと外の風情から想像できないような前衛芸術作品が展示されていました。
ここでボランティアで観光ガイドをされている磯部さんと合流。この後はお昼まで、磯部さん・舟津さんのお二人と行動を共にします。
横町うらら館から、本日最大の目的地である白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)に向かいます。
大鳥居をくぐり、全部で108段あるゆったりとした表参道を上がって、白山比咩神社に向かいます。
この表参道は、緑一色です。おごそか、かつ神秘的で、とてもいい空気感を醸し出しています。
苔むす参道の脇には、清らかな水が流れています。
こちらは、樹齢800年の老杉。根が左にある別の杉と繋がっていますが、このような杉は珍しいそうです。
旧参道から持ち上げた大きな石でできた水飲み場もあります。
表参道を登りきり、神門越しに望む拝殿です。
ここで、この白山比咩神社について解説します。
白山比咩神社は、2,100年前の紀元前91年、第10代・崇神天皇の時代に、船岡山に白山の「まつりの庭」として白山比咩神社の社殿を創建したことから始まります。(白山大神宮御鎮座伝記)
白山比咩神社は、日本三名山の一つである白山(はくさん)を神体山として祀っています。白山は1,300年前の奈良時代に泰澄が登頂し開山しました。その後、修験道として体系化され、全国三千余社の白山神社の総本宮として、日本全国に白山信仰 (はくさんしんこう)を拡げていきました。
このような大昔からこの地に脈々と受け継がれてきたのが、この白山比咩神社なのです。
ちなみにイエス・キリストがキリスト教を広めたのは、2,000年前。
メッカ郊外で神の啓示を受けたムハンマドがイスラム教を広めたのは、西暦610年頃ですから、1400年前。
キリスト教やイスラム教と同じ時間スケールの歴史が、人々が日々暮らしているこの町で受け継がれているのです。考えてみると、すごいことですよね。海外観光客も来られますが、この歴史を聞くととても驚かれるそうです。
この白山比咩神社のご祭神が、菊理媛 (くくりひめ)。神話にも出てくる伊奘諾尊(イザナギノミコト)と伊弉冉尊(イザナミノミコト)の仲違いを、仲直りさせた縁結びの神で、この神社に祀られています。
白山比咩神社は、まさに歴史的に見ても、最強の縁結びパワースポットなのです。
拝殿には大きなしめ縄がかかっています。
この鶴来の町では、ここ1年で若い女性観光客が増えているそうです。この日は平日でしたが、一人で来ている女性客を何人も見かけました。観光協会のお話しでは首都圏から来ている方が多いそうです。
この大きな理由が、昨年2014年9月に立ち上げた、この「恋のしらやまさん」プロジェクトです。
では、「恋のしらやまさん」、具体的にどのようにするのでしょうか?
まず、「恋のしらやまさん」きっぷ一式の中にある奉納恋文に、願いをしたため、住所と署名を書き込みます。
私は「夫婦円満」と一筆したためて、住所と署名をしました。(恥ずかしいので恋文と住所を伏せ字にしています)
これを捺印していただき、赤い糸で括って、奉納します。
白山比咩神社では個人でも「初穂料」を奉納すれば祈祷することもできます。
しかしこの方法なら、奉納分は「恋のしらやまさん」きっぷ一式の料金に含まれていますし、他の方の奉納分とまとめて奉納してくれます。合理的ですね。
ここで白山比咩神社の権禰宜を務められる田中天善さんにお目にかかりました。左から、ボランティアガイドを務める磯部さん、舟津さん、大柄な方が田中さんです。
田中さんは、白山開山1300年に向けて、開祖泰澄ゆかりの三馬場(石川県(加賀)の白山比咩神社、福井県(越前)の平泉寺白山神社、岐阜県(美濃)の長滝白山神社)を回るスタンプラリーを企画した方です。
授与所に掲示されている先月6月30日の北陸中国新聞に取り上げられた記事でも、田中さんの写真が掲載されています。
ちなみに、スタンプはこんな感じで押します。三馬場を巡り、このスタンプを3つ揃えるのですね。
早速、磯部さんも「越前と美濃に行かなきゃなぁ」といいながら、スタンプを押しています。
神社の横には、白山比咩神社宝物館があります。
残念ながら撮影不可だったので写真はありませんが、歴史を感じさせる大変貴重な、まさに「宝物」が多数展示されています。たとえば、
■木造獅子狛犬:平安時代末期の狛犬です。大陸の影響を色濃く受けたデザインです。
■木造狛犬:こちらは鎌倉時代の狛犬。かなり現代のものに近くなっています。
ちなみに、この2体は時々いなくなります。大英博物館などへの海外博物館への展示のため、国外に行くそうです。
■白山宮荘厳講中記録:鎌倉時代から戦国時代までの白山本宮の記録
■真柄の大太刀:「信長公記」にも登場する越前朝倉氏被官の真柄十郎左衛門が使用したとされる巨大な大太刀。長さ2m以上、重さは数十Kg。
■江戸時代に日本全国に白山信仰を拡げるために旅立った僧侶が背中に抱えていた白山の模型。
■他にも、前田利家・利長・利常、……と加賀藩主・前田家代々の殿様の花押がある書状や、木曾義仲が戦勝祈願した書状などもあります。
どれもよく話を聞くと、凄い逸品ばかり。しかも平安時代、鎌倉時代、室町時代、江戸時代と脈々と受け継がれた文化財が揃っています。発掘して見つかったものも多いそうです。
先日読んだ「新・観光立国論」(デービッド・アトキンソン著)で、アトキンソンさんは「基本的に日本の文化財は、一見すると地味なのに、よくよく聞くと「すごい」というものが多いのです。」(p.221)と書いておられますが、まさに同じことを感じました。
神社の横には、白山から流れてくる霊水が湧き出る場所もあり、住民の方が家庭用に水を汲んでおられました。
私もペットボトルに汲んで飲んでみましたが、実に美味しい水です。もちろん無料。
このように水が美味しい鶴来では、あとでご紹介するように、こうじを作っている店や、造り酒屋が沢山あります。
再び表参道を降りていきます。大鳥居の横に土産物店とお食事の店「おはぎ屋」があるので、ここで昼食にします。
天ぷらやおそばの他に、酢飯と鱒などの魚を笹で包んだ料理もあります。
磯部さんによると、鶴来の家庭ではみなこれを作っているとのことです。このあたりにふんだんにある笹の葉で包むことで防腐効果もあり、富山の鱒寿司の起源にもなっているようです。
お店の中は、こんな感じです。天井に大きな梁があるのは、加賀ならではですね。
お昼をいただきながら、磯部さんのお話しを伺います。
もともと鶴来の町の人たちはあまり観光に積極的ではなかったそうですが、ここ数年でだいぶ変わってきたそうです。
そのきっかけの一つが、2年ほど前に、鶴来の人たちとJTBさんと一緒に行った5回のワークショップ。
ワークショップを通じて、鶴来の町のよさについて議論をしたところ、白山比咩神社を中心に、色々なアイデアが出てきました。実は、これまでにご紹介したもの以外にも、こんなものもあります。
■辻占(つじうら):加賀に伝わる正月菓子。おみくじが入っています。これが中華街に伝わりフォーチュンクッキーになって世界に拡がりました。(後でご紹介します)
■おついたちまわり:神恩感謝の真心を捧げ、無事に過ごせた感謝と、無病息災・家内安全などを、月初めの一日に祈念する習わしです
■町屋:200年以上前の町屋が沢山あります。(これも後でご紹介します)
■発酵文化:白山は、白山から湧き出る美味しい水で、日本酒・こうじ・味噌・酢・醤油などの発酵食品が盛んです。中にはふぐの卵巣の糠漬けのように、発酵技術を活かして青酸カリを上回ると言われる猛毒を持つふぐの卵巣を糠漬けにして無毒化するような世界でも類を見ない珍味もあります。
実に色々な観光資源があったということですね。こんな中から「縁結び」というキーワードが浮かび上がり、「恋愛成就の旅」というコンセプトが生まれました。
白山比咩神社Facebookには、2014/9/30にこんなメッセージが投稿されています。
「実は1年前に描いた一枚の紙から、プロジェクトは始まりました」
この一枚の紙をJTB様に見せていただいたことがあります。
「白山の新しい観光コンセプトと体験プログラム」というタイトルで、この5回の議論が1枚にまとまっています。「恋のしらやまさんプロジェクト」は、このような議論を通じてて生まれてきたのです。
■統一コンセプトとして、「恋愛成就」
■ターゲットとして、「20−30才の未婚女性」を設定
■来訪者を喜ばせる仕掛けとして、切符、地図、ポスター、チラシ、商品を統一デザインで開発
これらを首尾一貫させて、戦略的に推進する。
まさに「白山ならではの強み」を徹底的に見直し、議論し尽くした末に生まれたのが、この「恋のしらやまさんプロジェクト」ということですね。
磯部さんによると、「鶴来の町は『実はよく聞くと凄い』というものが多い」。
たとえば、鶴来にある造り酒屋の「萬歳楽」では、ノーベルナイトキャップ(ノーベル賞授賞式後のパーティー)に梅酒として初採用された梅酒を作っています。
しかし当初、お店ではあまりアピールしなかったそうです。磯部さんが観光客を連れて店に行って、「ここの梅酒はノーベルナイトキャップに初採用されていて……」と説明すると、誰もが「ぜひ」と購入されます。
あまり自分で「こんなに凄い」と言わないのは、日本人の性格なのかもしれませんね。
しかしそんな鶴来の町も、ここ数年でだいぶ変わってきて、町が一体となって観光に力を入れるようになってきました。
昼食を終えて、町中の散策に出かけます。
鶴来の町には、至る所に「辻占スポット」があります。「辻占スポット」では、「恋のしらやまさん」きっぷ一式の中にある「辻占券」を出せば、あのフォーチュンクッキーの元祖である加賀の正月菓子「辻占」がもらえます。
ここは神社から歩いて5分ほどの家具屋さん「町八家具」。入り口に巨大な椅子があるのが目印です。
中に入ると、「辻占スポット」と書かれています。
近代的な建物の横に、蔵屋の建物が隣接している構造になっています。蔵屋の中は風情がありますね。町八家具・専務の町さんが案内してくれました。
お茶をいただきながら休んでいると、町さんと、磯部さんが話し合っておられました。
町さん「無料で店を観光のお客さんに開放しようと思っているんですよ。駅からここまで数十分歩いている人が多いですし、知らない町を歩くのって大変ですよね。少しでも楽になれば、と思っているんです」
磯部さん「うーん。いいことだね」
まさに磯部さんがおっしゃっていたように、鶴来の町が全員で、観光客を歓迎しようとしておられることを実感します。
鶴来の町全体に、そんな感じが溢れています。
小さな鶴来の町には、和菓子店が10店舗もあります。この日の私の見学のために、常山生菓子店さんが、休業だったのにわざわざ店を空けていただきました。有り難い限りです。
ここでも「恋のしらやまさん」のポスターの横に、「和菓子スポット」と書かれています。
ここで「恋しら大福」をいただきました。「恋のしらやまさん」プロジェクトで生まれた和菓子商品です。
このように「恋のしらやまさん」デザインを使っています。このデザインは、「恋しら」関連商品で無料で使えるそうです。「恋のしらやまさん」のブランディング戦略です。
商品を買うと、こんな御守りももらえます。5円玉を包んだもので「ご縁がありますように」ということで、心憎い演出ですね。
常山生菓子店の若旦那・常山さんと、舟津さんです。
鶴来の町で育った常山さんは、大学卒業後、埼玉でIT関連のお仕事をされていました。鶴来で仕事をしている同級生は多く、帰郷した際でも、上京した常山さんを快く受け入れてくれました。2年前に鶴来の町に戻られ、ご実家の仕事を通じて和菓子で町おこしに携わっておられます。
ということで、店のベンチで「恋しら大福」をいただきます。お茶もいただきました。さすが鶴来の和菓子専門店。とても美味です。
和菓子と一緒に置かれているハート型の石は、彫刻をなさっている舟津さんのご主人が作ったものです。「手触りがいいので、手にとって感触を楽しんでください」とのことで、手にとってみました。確かにいいご縁がありそうな感触です。
常山さんのお母様が、店に飾っている嫁入り道具を説明してくれました。
お母様が手にしているのは、加賀袱紗(ジュウカケ)。結婚式で配る生菓子を入れるための、輪島塗の重箱にかけるものです。
こんな感じで、重箱にかけます。
また、加賀の嫁入りでは、結婚式が終わるまでこのような「花嫁のれん」をかけます。きれいなデザインですね。
この加賀袱紗も花嫁のれんも、実際にお母様が嫁入りの際に使われたものです。
加賀の文化を感じますね。
横町うらら館に戻りました。この180年前の町屋も「実はすごい」ものの宝庫です。
これは天袋のふすま。江戸時代に描かれたものです。表は金箔を張ってこのような画が描かれていますが、
磯部さんがふと気がついて裏を見てみると、実は裏にもこんな絵が描かれていたそうです。(一部破れています)
左手には富士、真ん中には活き活きとした躍動感が伝わってくる5人の田植女(たうえめ)。 右手には白山でしょうか?
普段は見えない裏にもこれだけの手間をかけた画が残っているのは、いかにも日本的です。
これは天井とふすまの間にある欄間(らんま)です。
一見、普通の欄間ですが、今の技術では作ることができないそうです。
実は細木を填め込んだのではなく、一枚の板を彫りだして作っています。
これは普通の押し入れに見えますが、
開くと豪華な仏壇です。
昭和11年頃に鶴来の町で行われた祭りの写真が、大伸ばしして展示されています。真ん中の男性に抱っこされた男の子は、現在82歳でお元気だそうです。
写真のアップです。
誰もがいい男っぷりで、いまどきのジャニーズやExileにいそうなイケメンですね。
こうしてみると、日本人は案外と変わっていないようにも感じます。
細長い町屋の奥には、石造りの蔵があります。
普段は作品展示に貸し出しているのですが、この日は展示の間が空いたので、磯部さんが描かれた絵が展示されていました。
磯部さんはもともと船乗りで、色々な町に行って絵を描いておられたそうです。メルボルンなどの海外の絵もあります。どれも素晴らしい絵画です。磯部さん、多才です。
再び町に繰り出します。この「辻占スポット」は、こうじの店の「飛騨屋」さん。
辻占券を出して、いよいよ辻占体験をしてみます。
辻占券と交換すると、こんな辻占をもらいました。
辻占のお菓子の中に、おみくじが丸まって入っています。
ぜんぶ拡げると、こんな感じ。
辻占の結果は、
わたしやあなたのお心任せ
すまないなどと水くさい
よいことがかさなる
なんか、よさそうな感じです。
この店で麹(こうじ)を買いました。無料の塩こうじの作り方ガイドもあります。
麹と水を等量、それに塩を入れて、タッパーのような大きな容器に1週間入れ、毎日かき混ぜます。お店の女将さんが、実際にいま作っている塩こうじで実演してくれました。
となりのお店「こうじ きぬや」さんも、麹のお店です。
地下のこんなところで麹を作っています。
ご主人から、こうじの作り方のご説明を伺っていると、外から奥様二人がお客さんとして来られて、「こうじ、ありますか?」。
店の奥様が、こうじをわけています。
ご主人のこうじ作りの話を伺っていると、お店の奥様が、キュウリに麹味噌を付けて出して下さいました。
これが素晴らしく絶品。味噌なのですがまるでデザートのような甘さを感じます。
「美味しい!」と感激していると、この味噌をお土産にいただいてしまいました。
こんなに美味しいのに、……本当に、いいのでしょうか?感謝感激です。
「写真を撮らせて下さい」とお願いして、舟津さんとご主人で写真。
(一見ご夫婦に見えますが、奥様は「私、伝票書きがあるから……」と店の奥に行かれました(笑))
このお店も築200年の町屋です。
道を挟んで向こう側には、 造り酒屋の「萬歳楽」さんがあります。
こんな日本酒を造っています。
ここで作られている梅酒が、あのノーベルナイトキャップ(ノーベル賞授賞式後のパーティー)に初採用された梅酒です。また「萬歳楽 加賀梅酒 スパークリング」として北陸新幹線のグランクラスの車内飲料として採用されています。(詳しくはこちら)
ちなみにこの町屋はなんと築250年。きれいな作りです。
ここはお客様をご案内し、お茶などでおもてなしをする部屋です。
ちなみにこの囲炉裏、なんと二百数十年も火を絶やしていないとのこと。奥様は何十年も、毎朝炭をくべているそうです。
この居間を見せていただきながら、梅酒を仕込む時の様子をお伺いしました。梅一つ一つのヘタを手作業で 取り除くところから始まり、大変な作業だそうです。伝統的な産業はどれも、この地道て丁寧な作業の繰り返しなのですね。
ということで、この日いち日で、鶴来の町を堪能しました。
この日はあいにくの雨のため、ゴンドラで山頂まで行き金沢平野や日本海が一望できる獅子吼高原や、自然の一枚岩に刻まれた高さ8mの日本最大級の不動明王がある一閑寺などは見ることができませんでした。
ぜひ次回の楽しみに取っておきたいと思います。
鶴来の町で学んだこと。それは、
「自分たち(白山)の強みは何か?」
「それを必要とするお客様は誰で、どんなニーズを持っているか?」
「お客様が自分たちを選ぶためには、どうすればいいのか?」
これを、町全体で考え抜き、鶴来の町が一体となって進めているのが、この「恋のしらやまさん」プロジェクトだということです。
実際に今回、JTB様とのご縁で「恋のしらやまさん」体験をして、チームが一体となって「お客様が買う理由」を考え抜いて実行することで、地域全体が元気になるのだということを改めて実感しました。
また、一見何もないところからも、多くの人たちが集まって智恵を出し合うことで価値を生み出せるのだ、ということを学ぶことができました。
ご準備にご協力いただいたJTB中部の武田様・寺澤様、北陸鉄道の河崎様、スケジュールをやりくりして丸一日の見学スケジュールを組みご案内いただいた白山市観光連盟の舟津様、鶴来の町のよさを教えてくださったボランティアガイドの磯部様、休業のところを店を開いて対応いただいた常山生菓子店の常山様とお母様、白山比咩神社の田中様、家具店に忘れた私のカメラ道具をうらら館まで届けて下さった町八家具店の町様、白山市観光連盟専務理事の古田様、白山市観光文化部の村田様には大変お世話になりました。
また、おはぎ屋、飛騨屋、きぬや、萬歳楽の皆様にも、とても親切にしていただき、とても感謝しております。
「恋のしらやまさん」プロジェクトを通じて、鶴来の町のよさが日本全国、さらに世界に伝わっていくことを願っておりますし、当ブログが少しでもそのお役に立てれば、とても嬉しく思います。
【補足】
金沢から東京への帰りは、北陸新幹線・グランクラスに乗りました。試しにメニューにある「梅酒スパークリング」を注文していただいたのが、この「萬歳楽 加賀梅酒 スパークリング」。お酒はあまり飲めない私ですが、これは絶品です。
加賀梅酒 萬歳楽WEBSHOPでも注文できます。
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