シンプルに物語を語る人がいます。
「情報革命で、人々を幸せにしたい」(ソフトバンク社長 孫正義さん)
「ミドリムシが、地球を救う」(ユーグレナ代表取締役 出雲 充さん)
シンプルに物語を語る人は、語り続け、行動し続けることで、世の中を大きく変えていきます。
なぜ物語で語ることが大切なのでしょうか?
物語で語ることで、周りの人たちが物語に共感し、目標に向かって突き進むめるようになります。
ビジネスでは多くの人たちが関わりますが、彼らも色々な考えを持っています。さらに現代はとても複雑です。それぞれの考えをまとめ、方向付けるのは大変な作業になります。
ここで役立つのが、物語。複雑な状況を整理して、説得力あるシンプルなストーリーで語りることは、チームの目標を意味づけ、関係者の足並みを揃えてくれます。そして物語は、物語に共感した関係者が強く思い込むことで、皆で同じ目標に向かって各々が奮い立って行動したくなるように動機づけてくれます。
このように物語で意味を作る手法は、「センスメイキング理論」と呼ばれます。「センス(意味)をメイクする(作る)」という意味です。
このセンスメイキングは、「お客様が買う理由」を創り上げるときに、とても役立ちます。
「お客様が買う理由」は、
・どんな強みを活かして
・誰の(ターゲット顧客)
・どんな悩みに(ターゲット顧客のニーズ)
・いかに応えるか(解決策)
を考えることが必要です。 一見簡単そうに見えますが、実際に作るとなると、とても大変です。「強み」「ターゲット顧客」「ニーズ」「解決策」などの選択肢はとても多く、組み合わせが無数にあるからです。
センスメイキングは、これをシンプルに考えるための手段になります。物語で考えるのです。
たとえば阿智村は、こう考えました。
「日本一の星空」という強みで、阿智村にお客さんを呼ぼう。
ターゲットは、都市圏の若者カップルだ。
彼らは、日常にないドキドキワクワクした体験をしたい。
そこで「星空エンターテイメント」を提供しよう。
ライバルは、ディズニーランドだ。
阿智村の阿智村の「日本一の星空ナイトツアー」には、2016年には11万人が訪れました。この星空でプロポーズしたカップルも100組以上にのぼります。
共感が伝わる現代では、「シンプルな物語で語ること」の大切さは、ますます高まっています。
しかし誰でも「シンプルな物語で語れる」わけではありません。
何をしたいのか?どのように変えたいのか?
その深い想いが、人々を共感させる「シンプルな物語」を作るのです。
この「物語を語る」ことは、多くの人たちを動かす強力な武器になります。
ただ「物語で語る」ことはあまりにも協力なので、時としてファシズムのように、人々を熱狂させながら破滅的な方向に誘導する潜在力も持っています。物語を語る立場にある人は、「よきことを語っているか?」「事実に基づいているか?」を常に心して考えるべきことなのかもしれません。
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