現場の体験と強いパッションが、新規事業を生み出す


ヤマト運輸で「まごころ宅急便」というサービスがあります。65歳以上の要介護者向けに、地元スーパーが商品を揃えて、ヤマト運輸が届けるサービスです。配達時にはドライバーが体調を聞き取り、必要であれば関係各方面に連絡します。

このサービスが生まれたきっかけは2008年の岩手県。ヤマト運輸のある女性ドライバーの体験です。

担当地域に住む高齢者の女性に荷物を届けた時、いつもは笑顔で出てくるのに、その日は家の奥から声しか聞こえませんでした。しかし次の配達もあるので、そのままにしていました。

3日後、孤独死しているのが発見されました。

この時、女性ドライバーは「ひと言かけていれば救えたのでは?」と悔やんでも悔やみきれなかったそうです。

そして「二度とこんな思いはしたくない」「孤独死をなくしたい」との強い想いで、「まごころ宅急便」の事業化を提案しました。

社内では、

「儲かるのか?」
「そもそもヤマト運輸で行うべきことなのか?」

という反対もあったそうです。しかし、

「これはヤマト運輸だからこそできること。そして有料事業化するからこそ、次世代に引き継がれる」

という強い想いで、岩手県内で事業化にこぎつけます。その後、3.11の大震災で店舗がすべて失われて買い物ができなくなり、「まごころ宅急便」は他地区に広がりました。

今では各自治体と協定を結び、全社で取り組むようになりました。

これは、現場で日々現実と向き合っている人たちだからこそ、「コレやりたい!」という強いパッションを持って生み出せる事業です。

「低成長時代」と言われる現代ですが、現場には数多くの課題があります。
現場にいる人たちだからこそ、そんな課題が見つけられるはず。

そしてそんな課題に正面から取り組むことで、お客様の課題を解決し、新しいビジネスを生み出し、成長に繋がっていくのです。

 

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。