朝活勉強会「永井塾」でこんな質問をいただきました。
当社は社員が高齢化していて、管理職も余っています。部下がいない元部長さんも多くて、やる気をなくしています。やる気をなくした方に活躍していただく上で、参考になる例はありますでしょうか?
この方は言葉を選んでおられますが、「成功体験の賞味期限切れを起こしている人をどうすべきか?」というご質問です。
実は即効性がある方法があります。
賞味期限切れを起こした成功体験でも、まったく違う場所に移ると、そこでは役立つ新しいスキルに変わることが多いのです。ですから社内で別部門に異動いただくことで、活躍できる可能性が高まります。
5年前に書いた「100円のコーラを1000円で売る方法 3」で、昭和の熱血営業マンだった清水元専務が、新しい営業変革に対応できずに、失意の中で駒沢商会を退社、外資系のガンジーネットに広報部長として転職した場面を描きました。清水元専務の「パッション一筋」という信念は、SNS上で若者から熱狂的に支持され、大活躍しました。これは清水元専務が持っていた営業としては賞味期限が切れた強みが、まったく違う場で花開いた例です。
これはフィクションですが、現実の世界でも同じです。
職場でも、「お客様第一主義」の営業部長が技術部門に異動してプロダクトアウトな製品作りをお客様志向に変革できるかもしれません。また逆に、「テクノロジー命」の技術部長が営業に変わることで、浪花節的な営業スタイルをロジカルな営業スタイルに変えられるかもしれません。
大切なのは、その異動の意味を、ご本人が心から納得するかどうかです。
実は私自身も経験しています。
私はマーケティング戦略の仕事を15年担当した後、人材育成の仕事に異動しました。事業本部長から「うちの事業部は、マーケティング戦略や営業戦略は徹底的にやった。人材育成はまだ不充分だ。事業部1000人の社員が、事業戦略に沿って動くようになって、生産性が20%上がれば、売上も20%上がるはずだ。だから事業戦略に沿って社員が動けるように、人材育成をして欲しい」と言われました。そして納得して、異動しました。人材育成はまったく未経験でしたが、マーケティング戦略で培ったスキルを活かして成果を挙げることができました。
このようにポイントは、異動する意味をご本人が納得していること。
本人が異動する意味を納得すれば、一見賞味期限切れした成功体験は、宝の山に変わるのです。
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