スターバックスはお洒落で居心地のよいカフェですね。
しかし10年ほど前に、ちょっと感じが変わった時期がありました。ちょうど東京ミッドタウンが出来た頃の時期です。当時、私もスタバに失望することが増えました。味も落ち、狭い店内で肩をすぼめて座らされたりして、居心地がいい空間でなくなったのです。次第にスタバから足が遠のいていました。
実はこれは世界的な現象だったのです。
何が起こっていたのか?この時期に創業者として復帰したハワード・シュルツが書いた「スターバックス再生物語」に、そのことが書かれています。
スタバを創業したシュルツは、2000年まで15年間をかけて成長させ、CEOを退任し会長職に専任していました。
その後もスタバは成長を続けました。10年間で全世界で1000店舗から13000店舗に急拡大しました。
しかし成長の代償が出てきたのが、2007年頃だったのです。
急成長するために、店舗デザインは簡素化され、バリスタは訓練不十分なまま客にコーヒーを淹れるようになり、中には作り置きを出す店もあり、さらに効率化のためにコーヒーの粉を袋詰めして店に出荷するようにしたために、店舗からコーヒー豆を挽く重厚で豊かな香りが失われていました。
成長と効率第一主義で、スタバは自ら「スタバ体験」をコモディティ化したのです。
図のように、2007年には急成長の代償が表面化し、顧客離れが顕著になり、利益も落ち始めました。
CEOに復帰したシュルツは、迅速に手を打ち、現状を改善するとともに、抜本的な変革も行いました。そのベースになったのは「スタバらしさとは何か?」を全従業員で考え続け、原点回帰しつつ、未来志向で新しいスタバを作ることでした。
規律のない成長を戦略としてしまったために低迷したスタバは、徹底的に「らしさ」を極め、その後は再び成長しています。
スタバは居心地のよい空間を取り戻し、いまは再び多くのお客さんが来店しています。
企業には、企業ならではの「らしさ」「強み」があります。
「自社らしさとはなにか?」を常に考えることが大切なのです。
一方で、ちょっと気になるのが最近の既存店売上成長率の低下。10年前の2007年の状況に似てきました。飲食業界では「10年間」というのは一つのキーワードのようで、マクドナルドも10年毎に危機に見舞われてきました。
今後が注目されます。
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