「独立すると、楽しいよ」
「会社員の方が楽じゃないの?」
会社に勤めていると、こんな話をすることが多いのではないでしょうか?
「独立すべし」派の意見は、こんな感じでしょうか?
・上司がいない。誰からも指示されないし、怒られない
・自分が好きなことができる
・通勤電車に乗らなくてもいい
「会社員が楽」派は、こんな感じだと思います。
・毎月給料が出るので安心
・独立して生きていけるか不安。家族もある
・会社の看板で仕事ができる
私は新卒で日本IBM社員になり30年過ごし、独立して6年間経ちました。
両方経験した私の意見は、「どっちも正しい」です。物事は全て両面があります。
独立すれば自由が得られます。
「自由」の英語はfreedomとlibertyの2つがあります。
何にも束縛されずに自由な状態が、freedom。責任は伴いません。
束縛から解放された状態が、liberty。これは勝ち取るもので、責任も伴います。
独立して得られる自由はlibertyです。何でもできますが、必ず責任が伴います。
会社員は問題が起こっても会社が守ってくれます。
成果が出なくても、給料が出ます。
会社の看板もあります。私もIBM社員の名刺を渡せば、会う人は「ああ、IBMにお勤めですか」と言ってくれました。
ただし会社員は会社のルールに従い、会社の方針で仕事する必要があります。上司も選べません。飲み屋で「上司が全然わかっていない。こんな会社辞める」と言う人がいます。気持ちはわかりますが、そもそも会社員とはそういうもの。転職しても同じ状況が起こります。
独立したら、すべて自分で守り、問題は自分で解決する必要があります。
お客様も自分で見つけて、お客様に満足していただく必要があります。
会社の看板は、使えません。
そして成果が出なければお金は入ってきません。これは会社員には実感できないかもしれません。私も独立前は実感できませんでした。
私が心底これを実感したのは、独立後です。
会社員時代には、毎月24日に給料振込がありました。
独立したら、24日になっても何も振り込みがありません。
当たり前のことですが、これは心細いものです。「これから自分で稼ぐ必要があるんだな」と心底実感しました。
すべて自己責任ですが、いいことも沢山あります。
まず通勤がなくなります。独立後、私はいかに通勤で時間を使っていたかを実感しました。
私は通勤で往復3時間かけていました。1日24時間しかない中、この時間を全て他に使えるのは実に大きいですね。この半分を睡眠時間にすれば、それだけ健康な生活ができます。
私は人に指示されるがとても嫌なので、会社員時代は上司に「こんな仕事をします」と提案し、認めてもらっていました。
独立後は、認めてもらう必要もありません。やりたいようにやっています。
独立したら上司の代わりにお客様がいます。でもお客様は、自分で選べます。
自分が力が発揮できないようなやりたくない仕事はストレスがかかりますが、辞退できます。
これは仕事が楽になる、という意味ではありません。
挑戦レベルが高くて、自分が成長するような難しい仕事は受けるべきでしょう。
しかし難易度とストレスは違います。難しくても挑戦しがいがある仕事は、あまりストレスにはなりません。
「独立した方がいい」も「会社員が楽でいい」も、実は同じ事を言っています。
会社員の方が確かに経済的にはリスクは少ないですが、独立して自分で責任を持つことでより自由にできストレスも減るのです。
「人生100年時代」です。
これからの私たちに必要なのは、自分の100年間を充実させるためのマーケティング戦略だと思います。
会社員として1つの会社に勤めれば、最大でも40年間。会社自体が消えることも多い時代です。
選択肢が会社員しかなければ、戦略の打ち手が限られます。
独立の選択肢があれば、戦略の打ち手は格段に増えます。
そのためには、独立しても通用する個人の力を身につけることです。
たまたま私は、30代前半の頃から「50歳になったら独立しよう」と考え、36歳の時にマーケティングの仕事を選び、10年以上かけて社外でも通用する実践的なマーケティング戦略力を身につけることができ、51歳で独立しました。
しかし会社員時代、常に独立を考えていたわけではなく、頭の片隅にあった程度でした。
50歳を過ぎて独立の後押しになったのは、講演や研修を依頼してきたお客様がいたことです。
会社員のため平日の仕事は受けられなかったので、土日祝日に無報酬で対応していました。本業と執筆がありましたし、この頃は大学院の授業を担当していたので大変でしたが、独立後の勘は養えました。
会社員の方は、まずは独立の選択肢を頭の片隅に置いて仕事をしてみてはいかがでしょうか?
もし会社の仕事とは別に、あなた個人に仕事の依頼があれば、それは「独立していい」というシグナルかもしれません。
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