「鬼滅の刃」から学ぶ逃げるが最強の戦略


「鬼滅の刃」をコミックや映画でご覧になった方も多いと思います。
「鬼滅の刃」で最強ラスボス・鬼舞辻無惨は、圧倒的な強さを誇っています。
しかし私は、無惨の凄さは実は戦闘力ではなく、 窮地に追い込まれると恥も外聞もなく一目散に逃げることだと思っています。

潔さを重視する武士道に慣れ親しんだ日本人から見ると「卑怯者!」と思ってしまいますよね。しかしこれは最強の戦略なのです。

このことは、中国の兵法書からもわかります。

中国には様々な兵法書がありますが、共通するのは「戦わずして勝つこと」

戦わなければ損害は避けられます。それに今戦っている敵は、将来の味方かもしれません。そこで中国では武力(力)でなく策略(頭)で勝つために、長年かけて膨大なノウハウを蓄積してきました。

そんな中国の兵法書の中に、策略に特化した「兵法三十六計」があります。
様々な策略を6グループ36種類に分類しています。

実はこの兵法三十六計で36番目の「走為上」が、あの有名な「三十六計逃げるに如かず」です。

中国の兵法書には玉砕戦法はありません。「勝算がない時は戦うな」が基本です。凡庸なトップほど進むだけで退き方を知りませんが、中国ではそんな人物を「匹夫の勇」と呼び軽蔑します。

負けそうな戦いから逃げれば、勝てないが負けません。戦力も温存できます。

三国志の奸雄・曹操の勝率は8割といわれ、圧倒的な強者でした。ライバル劉備は勝率2割以下。曹操の勝因は三つありました。

①兵法書をよく研究していた
②負けた敗因を分析し同じ負け方をしなかった
③「勝てない」とわかると、ためらわずに即撤退した。

研究熱心で、同じ負けをせず、しかも負けそうになるとすぐ逃げる。曹操が強いわけですよね。

日本人は「逃げるのは卑怯」という考えを叩き込まれています。ですから神風特攻隊のような無茶な戦い方もやってしまいます。

中国人は、逃げるのは得意です。不利な状況ではまず逃げることを考えます。そして戦力を温存し、じっくり巻き返しを図ります。

どちらが良いかは、一概にはいえないかもしれません。「当たって砕けろ」で大勝ちもあります。しかし全軍玉砕もあるわけです。

日本人は、逃げることも選択肢の一つとして考えておくと良いのではないでしょうか?

 

 

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