全く伝わらないマーケティングメッセージ、実に多いですよね。
感覚的には世の中の9割が全く伝わらずスルーされる感じです。
たとえば…
・業界最軽量のカメラを新発売
・扉が開いていたらスマホで通知する冷蔵庫
・プロがこだわり抜いた食材を使った逸品
どれも真心こめて開発された商品やサービスなのだと思いますが、残念ながらどれもメッセージが心に残らないので、スルーされがちです。結果、膨大なライバルのメッセージに埋もれてしまい、売れません。
一方で、伝わるマーケティングメッセージもあります。
たとえばジョブスは2007年、当時世の中に氾濫していたボタンだらけの「スマートフォン」と呼ばれていた写真を見せながら…
「スマホっていうけど、キーボードって全然スマートじゃないよね」
と言った上で、
「だからiPhoneを作ったのさ」
と言いました。
さらに他社の分厚いノートパソコンの写真を見せながら…
「薄型ノートっていうけど、分厚いよね」
と言った上で、大型封筒を取り上げて
「だからMacBook Airを作ったのさ」
と言いながら、封筒から超薄型のMacBook Airを見せました。
またバルミューダの寺尾玄社長は、
「子供たちの目を守りたかった」
と言った上で、
「だからBALUMUDA THE LIGHTを作った」
と言いながら、定価37,000円の卓上ライトを発売しました。
伝わらないメッセージと伝わるメッセージの違いを解明する上で参考になるのが、サイモンシネックが著書「WHYから始めよ」で提唱した「ゴールデン・サークル・モデル」です。これはメッセージを「WHY」「HOW」「WHAT」という3つの円(サークル)を重ねたものです。
伝わるマーケティング・メッセージは、WHYから語っています。
WHYとは、マーケティング的に言えば、「顧客の便益」(カスタマーベネフィット)です。
1割の伝わるメッセージは、WHY→HOW→WHATの順で語ります。こんな構造になっています。
①まず顧客の便益から語る。(WHY)
②その実現のために、どうしたかを語る。(HOW)
③その結果、どんな商品やサービスに仕立てたかを語る。(WHAT)
逆に冒頭の9割の伝わずスルーされるメッセージは、WHATから語っています。WHYはなかったり、あっても最後にオマケで付いている程度。こんな構造です。
①どんな商品やサービスかを語る。(WHAT)
②どうやって作ったかを語る。(HOW)
③顧客の便益を語る。(WHY)←そもそもこれがないものも多い
WHY(=顧客の便益)から語るようにすれば、あなたのメッセージは伝わるようになるのです。言われてみれば実に当たり前のことなのですが、実際には9割のメッセージができていないのもまた、現実なのです。
いまの御社のメッセージ、WHYから始めていますでしょうか? この機会に、ぜひチェックしてみて下さい。
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