蔦屋書店の雰囲気、私は大好きです。
やや照明を落としたいい感じの雰囲気と、落ち着いた空気感。
スタバが併設されていることも多く、つい長居をしがちです。
六本木駅近くにある「文喫」もいい感じです。閉店した青山ブックセンターの跡地に2018年年末に開業した、入場料1650円を取る書店です。ゆったりした空間で本が読み放題。食事もできます。
「こんな空間が拡がればいいなぁ」と思っていたら、2023年1月27日の日経MJに、こんな記事がありました。
「CCC、シェアラウンジ出店加速」
CCCとは、TSUTAYAや蔦屋書店を展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」のこと。そしてシェアラウンジとは、ラウンジとシェアオフィスの機能を兼ね備えた空間のことです。
CCCが、このシェアラウンジの出店を加速しているのです。
丸の内では、TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI SHARE LAUNGE(ツタヤブックストア丸の内シェアラウンジ)を書店に併設する形で開業。3〜4階の吹き抜け空間に、個室17室、会議室2室、220席を備えます。
基本料金は、60分1,650円、1日5,500円、月額利用55,000円。
フリードリンク、フリースナック&ブレッド。つまり飲み物と軽食は無料です。高速Wifi/電源もあり、本も読み放題。
2025年末までに首都圏で100店舗体制を目指すとのこと。
これは、なかなか凄い戦略です。
全く新しい会社が「当社はシェアラウンジを始めます」と言っても、私たちはなかなかイメージできません。でも蔦屋書店が「シェアラウンジを始めます」と言われると、どんなものになるかイメージできます。
よく考えてみると、これはものすごいブランド資産です。
ブランド資産は、消費者の脳内に作られます。一度このようなブランド資産が作られると、ライバルはなかなかそれを上書きできません。CCCはこの蔦屋書店で作り上げたブランド資産を、シェアラウンジで活用しているのです。
いま、シェアオフィスは成長市場です。コロナ禍でリモートワークが普及したおかげで、シェアオフィス市場は2026年には2300億円(2020年の3倍)の規模になると見込まれています。
ちなみに冒頭で紹介した2018年年末開業の「文喫」は、出版取次の最大手である日本出版販売(日販)が運営しています。日販は書店ビジネスが生命線。だから書店の価値を高める挑戦をしています。文喫はそんな挑戦の一つです。
CCCも2019年から渋谷で、ラウンジとシェアオフィスの機能を兼ね備えたシェアラウンジを開業していました。
書店業界では、コロナ禍前から様々な試行錯誤をしていたわけですね。
そしてCCCは試行錯誤した結果、「これはイケる」との確信を得て、スロットルを本格的に踏み込んでいます。蔦谷書店で培ったブランド資産を武器に、本格的に「シェアラウンジ」というコロナ禍で生まれた新市場を開拓しようとしています。
コロナ禍は一段落した今、新しく根付いた生活スタイルによって生まれた新市場が様々な業界で生まれています。大きなチャンスがやってきています。
御社は、どんな新市場を開拓しようとしておられますか?
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