本棚を整理していたら、雑誌Brutusの古い特集号が出てきました。
『美しき隣人たち、ジャパニーズ・ビューティ。』 1989年5月15日号
『侃々諤々 美人論。』1991年5月15日号
当時の女優さんやモデルさん、アーティスト、アスリート、知識人といった女性たち数十名が、それぞれモノクロポートレート写真1枚に収められた特集です。
どれも作品として素晴らしい写真ばかりです。
当時15歳の後藤久美子さんが出ていたりしています。
当時20代だった黒木瞳さんも出ています。驚くべきことに、今とほとんど印象が変わりません。
人気女優たち23名を、ゲイのピーコさんとマンディさんが「性別に由来する偏見や社会的束縛がない」という立場で、辛辣に一刀両断に診断するという6ページの対談特集もあります。この対談は都内の会員限定ホテルの1室を300,000円で借りて行われています。(ちなみにこのお二人によると、1位は大地真央さん、2位は宮沢りえさん、番外で浅野温子さんと浅野ゆう子さんだそうです)
読んでいて実に面白く、思わず見入ってしまいます。
誌面全体からすごくお金をかけていることが伝わってきます。
今はこんな特集は、なかなか作れないかもしれません。
当時はバブルだったことに加え、まだインターネットがありませんでした。
新鮮な情報を入手する主な手段は、雑誌でした。
だから雑誌作りにお金をかけることができました。
そしていい雑誌ほどお金をかけられるので、良質な情報が凝縮されていました。
今はネットのおかげで情報はタダで入手できる時代です。
情報はコモディティー化してしまいました。
お金をかけて情報を編集することは、ますます難しくなっています。
そして消費者の目は、逆に肥えています。
情報はあっという間に消費されてしまうのです。
しかしこの特集を見て改めて思うのは、「十分な手間と時間をかけて作られた情報は、やはり面白いし、深い」ということです。
情報がコモディティ化し、多くの情報発信者が手間と時間をかけなくなった現代だからこそ、ジックリと手間と時間をかけた情報は、相対的に大きな価値を持つことができ、差別化できるのでしょう。
この特集を見て、改めてそんな情報を発信する必要性を感じました。
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