7月10日のエントリーで、以下のことを述べました。
- 腕時計市場が変質している
- 時間を知るだけならケータイでコトが足りる。しかし、腕時計の目的が、当初の「常に携帯して現在の時刻を知る」から、「自分自身を表現する」へと大きく再定義された結果、携帯電話の影響で大きく縮小する危機にあった市場が再成長した
- 実際、2005年の腕時計市場は金額で前年比8%増、このうち7割がスイス製の高級品
一方で、8月19日の日経朝刊「『携帯世代』腕時計回帰の兆し」で、ケータイ世代にも腕時計が復権しつつあることが紹介されています。
1992年の国内出荷数約2600万個から1/3に減少していたそうですが、昨年の腕時計の出荷数は約840万個で、出荷台数は前年比+4%増を見込んでいるそうです。
「就職を機に」と買い求める人が多く、「いちいち携帯をポケットから出して時間を見るのは格好悪い」という意見があったり、就職活動の面接や筆記試験等でも携帯電話の電源を切る必要があったりして、腕時計は必需品の地位を回復しつつあるそうです。
考えてみれば、私が学生の頃は携帯がなかったために、時間を知るためには中学・高校の頃から腕時計は必需品でした。しかし現代では、とりあえず時間を知ることは携帯電話で足りるために、腕時計が必要とされるシーンが変わってきた、ということですね。
従って、「腕時計回帰」と言っても、市場そのものが変質していますので、腕時計各社の製品戦略も市場の変化を反映したものに変わっているのではないでしょうか?
さて、一般論としてよく市場が低迷していることをビジネスが低調の理由に挙げることがありますが、そのような場合は市場が再び成長を始めても、自社だけ成長から置き去りにされることがよく起こります。
市場低迷期に、市場そのものが変質しているからです。実際、そのような市場低迷期にも、同一市場で大きく成長している企業もあります。ユーザーのニーズを的確に捉えているからです。
従って、ビジネスが低調な場合、景気の悪さだけに原因を求めるのではなく、自社の戦略が市場にあったものなのか、変更すべき点がないかを常に見直し続けることが必要になるのではないでしょうか?
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