例えば、「売れていない」ことは問題の本質ではない


新規事業を立ち上げたり、改革プロジェクトを進める際、一番重要なことは、『「問題の本質」を正しく定義して、関係者とその課題を共有すること』、だと思います。

ただ、ここでよくある勘違いがあります。

定義すべきは「問題の本質」であって、「課題」ではない、ということです。

例えば、新規事業を立ち上げたものの、なかなか売上が当初のプラン通り伸びない状況があったとします。

これを解決すべく、新しくプロジェクトを編成し、対策を講じる場合。

往々にして、

『そもそも、「問題の本質」は売れていないことだ』
⇒『だから営業戦力を増大するのだ』

という議論になることがあります。

しかし、これは「課題」が「問題の本質」であると短絡的に結びつけてしまっています。

営業戦力を増大すると、何らかの効果はあるかもしれません。

しかし、問題の本質を洞察し、その本質を解決しない限り、「売上が伸びていない」という課題を根本から解決することはできません。

つまり、「売上が伸びていない」というのは「課題」ではありますが、「問題の本質」ではありません。

例えば、以下のようなものが問題の本質です。(実際には、このような要因が複数お互いに絡み合っています)

■問題の本質:新規事業のターゲット顧客の定義が、営業チームとマーケティングチームの間で異なりバラバラに活動していた。具体的には、マーケティングチームは大企業向けにキャンペーンを行っているにも関わらず、セールスチームは中堅製造業のお客様に対して営業活動を行い、両者は全く連携していなかった。その結果、キャンペーンで興味を持った見込み客を契約まで持っていくようなフォローができず、また一方でセールスは攻め込んでいる中堅製造業の需要喚起が出来ず、全社で売上が上がらなかった

⇒アクション:営業チームとマーケティングが一緒になって市場の状況を把握し、本来ターゲットとすべき顧客の定義を行う。その上で、共通のターゲット顧客に対してキャンペーンとセールス活動を連動させて実施、見込み客を営業がフォローし契約まで持っていくようにする

上記は分かり易くするために非常に単純化した例です。このように、具体的に対応できるレベルまで落として、初めて問題の本質を定義したことになります。

できれば、数字で問題を裏付けたいところです。例えば、見込み客のうちセールスがフォローした案件数の比率はどうか、セールスが契約した案件のうちキャンペーンで発掘した比率はどうか、等です。

「問題の本質」が定義できれば、そのアクションは定義可能です。

この考え方は、仕事を進める上で、広く一般的に適用可能な考え方であると思います。

仕事を進めるにあたって、問題の本質を取り違えないように心掛けたいものです。