海外の識者は、今の日本をこう見ている


恐らく、自分も含めて、日本人程、他国から自分達がどのように見られているかを気にする国民はいないのではないでしょうか?

実際、外から見る目は結構正確だったりします。 

現在、日本の将来について悲観的な内容が各種メディアから出されています。

このような場合、日本についてよく知っている海外の識者の意見は結構正確で、ともすると我々の行き過ぎた見方を正してくれます。

本日(1/30)の日経金融新聞の記事『ZOOMウォール街 コロンビア大学ヒュー・パトリック氏―日本再生カギはどこに』で、米国での日本経済研究の最高峰、コロンビア大学経営大学院日本経済経営研究所・ヒュー・パトリック所長が日本再生のカギについて語っています。

参考になりましたので、ポイントを引用します。

—(以下、引用)—

■世界的にリスク過敏症で、そのうち日本にも投資資金が戻ってくる。だがメーンバンクによる企業統治の時代が終わり、株主や労働者ではなく、経営者に権力が集中しすぎる『独裁経営』は好ましくない。

■公的債務はGDPの170%の規模だが、政府が貸し手の債務が半分ある。純債務ベースでのGDP比は85%と欧州と同じで、持続的成長が可能な水準だ。消費税率を上げるために『我々は危機的状況にある』と主張する霞が関の一部に国民が洗脳されている。金融政策だけでは景気循環に対応できない

—(以上、引用)—

上記視点は現時点では日本では少数派ですが、増税必要論は財政の観点でも必要性は全くないというのは、経済評論家の森永卓郎さんと同じ指摘であり、私も同感です。

—(以下、引用)—

■そもそも海外情報の不足が日本の弱点だ。今後、個人の金融資産や年金資産を有効活用するうえで、海外投資は必須。日本の株式が歴史的に割高だったのは国際投資が盛んでなかったからだ。これまで海外情報は総合商社などに依存してきたが、国としての情報収集力が落ちている

■英語力の低さも懸念している。英語教員の受け入れプログラムなど国際的な人材交流への予算が減った。国としての情報収集には、英国のほうがはるかにカネをかけている。経済指標などはサンプリングがバラバラで、国内でも情報力に重きが置かれていない

—(以上、引用)—

第二次世界大戦でも、日本の軍部は情報収集を軽視していましたが、この体質は改まっていないようです。

先日も「極めて危険な、空気読み過ぎ+思考停止する日本」で書きましたように、日本の社会が全体の空気だけで主観的に動く時代は、日本は客観性を失い、独善的になり、暴走して破綻する可能性が増します。

—(以下、引用)—

■米国における日本研究の柱は歴史、言語、文学で、人気が衰える気配がない。経済におけるウエート低下は、他のアジア諸国を過小評価してきた米国アカデミズムの問題だ。日本人が常に自己を悲観的にとらえる自虐主義には驚く。教育や医療の面で日本の最低所得者層10%は米国の同層よりも立派な生活をしている。恵まれた国だ

—(以上、引用)—

確かに指摘の通り、「自虐」と「悲観」は日本人の特徴のように思います。

過去の歴史では、日本人が楽観的になり躁状態になると、戦争に突入したり、バブル経済を起こしてきたりしました。

逆に、課題が山済みで悲観的な状態の時ほど、課題を解決し順調に発展してきたように思います。

確かに少子化・高齢化・経済の停滞、どれも大きな問題ではあります。

しかし、非常に悲観的な現在は、裏を返せば、解決可能な、実はそれ程深刻な問題ではないのかもしれません。 こちらに書きましたように、東大の小宮山総長がおっしゃる「課題先進国・日本」という言葉は、まさにそれをあらわしています。

しかし一方で、全体がこのように「色々ある。しかし問題ない」と思い始めたら、それはまた暴走する危険な兆候でもあります。

難しいものですね。