何故、「チコさん」の後任が「りさ子さん」でないのか、考えてみた


「新しい40代」のための女性誌「STORY」(光文社)は、黒田知永子さん(チコさん)が創刊から表紙モデルを務めてこられました。

このたび黒田知永子さんはご卒業になり、後任の表紙モデルは清原亜希さんになりました。

清原亜希さんは、あのプロ野球の清原和博選手の奥様です。

先週、電車の「STORY」のつり革広告で「ラスト大特集 チコさんの旅立ちのときが来ました」という記事のタイトルを見て、「代わるのかなぁ」と思っていました。

今週、本屋にあった今週号の「STORY」の表紙を見て後任が清原さんということが分かりました。

もともと、40代向けの女性誌「STORY」は、30代向けの女性誌「VERY」を卒業した人向けに同じ光文社が作った雑誌です。

「JJ」のモデルだった黒田知永子さんは、引退、就職、結婚、出産の後、34歳の時に「VERY」創刊号の表紙モデルとして復帰、しばらく「VERY」のモデルを務めました。

その後、VERYの表紙モデルは三浦りさ子さんが後任になりました。

三浦りさ子さんはその自由奔放な好感度とあいまってカリスマ性を発揮して大人気になり、「VERY」はかなり売れたようです。

黒田知永子さんもしばらく「VERY」の特集記事に出ていましたが、新雑誌「STORY」創刊に伴って、「STORY」表紙モデルに移った経緯があります。

ちなみに、黒田知永子さんの歴代「STORY」の表紙はこちらです。

ううむ、お美しいですね。 ……考えてみたら、私、同い年です。

その後、三浦りさ子さんも「VERY」を引退、「VERY」の表紙モデルは何人か代わった後に、現在は井川遙さんになっています。

そこで私が考えたこと。

 

『なぜ、「STORY」の二代目表紙モデルは、三浦りさ子さんではないのだろうか?』

 

上記変遷を考えると、順当に行くと三浦りさ子さんになってもおかしくありません。

ただ、黒田知永子さんと三浦りさ子さんは大きな違いがあるように思います。

黒田知永子さんは、その時その時でスタイルを変えています。

例えば、「VERY」創刊時の表紙を飾った黒田知永子さんの写真は、現在の「STORY」の自然体の感じからは違ってゴージャスな印象を受けます。ちなみに、「VERY」創刊号の写真はここあります。

「JJ」時代の頃はよく分かりませんが、恐らくまた違うのではないでしょうか?

「JJ」「VERY」「STORY」と異なる雑誌でも表紙モデルを務め続けられたのも、その時代時代に合わせてスタイルを変え、同年代の読者の方々に新しいメッセージを訴求し続けたからではないかと思います。

一方で、三浦りさ子さんはどこでも三浦りさ子さんで、その自然体のスタイルは一貫しているように思います。「VERY」で大人気になったのも、その一貫性にあったのではないでしょうか?

大人気だった、ということは、言い方を変えれば、『「三浦りさ子さんのライフスタイル」という記号は、記号として消費尽くしてしまった』とも言い換えることができると思います。

「STORY」創刊号の表紙に黒田知永子さんが登場した時は、「新しい雑誌が始まるのだ」という予感がありました。

しかし、「VERY」という雑誌とともに記号として消費し尽くされた、言い換えるとご自身の存在が「VERY」というブランドそのものとして認知されてしまう三浦りさ子さんが「STORY」の表紙に登場すると、「STORY」と「VERY」とのポジショニングが重なってしまう危険性があります。

三浦りさ子さんが引退した「VERY」がしばらく表紙モデルを決められなかったのも、「VERY」という雑誌そのもののアイデンティティが、あまりにも三浦りさ子さんと同一化していたためであるとも言えるかもしれません。

複数の製品ラインを持ち、大ヒットした製品の後継モデルを出す際のプランナーの悩みも、全く同じですね。

 

一方で、数年後に「新しい50代」のための女性誌が出来た場合、黒田知永子さんがまた表紙モデルに復帰してくるかもしれません。今度はどのようなメッセージを訴求してくるのでしょうか?

何故、「チコさん」の後任が「りさ子さん」でないのか、考えてみた」への2件のフィードバック

  1. こんにちは。清原亜希さんが表紙に起用された「STORY」は、実はマーケティング的な興味から、私も買ってました。
    STORYは、30代後半~50代入り口ぐらいの女性のライフスタイルを把握するにはいい雑誌ですよね。
    黒田知永子さん、三浦りさ子さんの分析鋭いですね。さすがです。

  2. 時代背景とか、ユーザ意識というマーケティングな観点も加えると、より面白い考察になる気がしました。論調としては、プロダクトアウトで時間が止まっている感を抱きました。

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