まだ私が20代の頃の話です。
その後、日本IBMの専務まで昇進した後に退任され、現在あるグローバル企業のCEOを勤められている方がまだ部長だった頃に、カバン持ちで米国出張のお供をしました。
当時、IBM-Americaの傘下には、各製品開発事業部がありました。
この部長は、IBM-Americaの責任者に、日本やアジアパシフィック側から本社の製品計画全般に関する要望を説明し、解決を依頼するために、プレゼンテーションをすることになっていました。
このIBM-Americaの責任者、当時のIBMではトップ5に入る大物です。
当然のことながら、資料作成には念には念を入れることになりました。週末、私は米国のオフィスに出て資料のチェックを行いました。
部長は、というと、一人で部屋にこもっています。
資料の内容確認があったので部屋に行くと、プレゼンの予行演習をしていました。
それも、プロジェクターに資料を映し、実際に立って、一言一言確認しながら行っています。
それを何時間も続けています。
いつも流暢な英語で抜群にうまいプレゼンを行う方でしたが、この達人レベルにして、このようにプレゼンのためには周到に努力を重ねてベストなプレゼンを行うとされていることを改めて実感しました。
この方の足元にも全く及ばない私は、それ以降、プレゼンには準備を怠らないように心掛けるようになりました。
とは言え、自分なりに準備を万全に行ったからと言って、ベストなプレゼンが出来る訳ではありません。
実際、私自身もプレゼン後に、「あそこはああすればよかった」「こうすればよかった」と反省することばかりです。
しかし、万全な準備を行った上で反省するのと、十分に準備をせずに反省するのでは、その後の改善度合いが違うようにも思います。
北添さんもブログで、「大事なプレゼンは、事前に完璧に作文します。」とおっしゃっていますが、全く同感です。
こういうことをカッコ悪いという人がいるかもしれませんが、すべき準備をちゃんとしないで失敗する方がよほどカッコ悪いように思います。
一方で、こちらの記事のようなこともあります。以前、私は非常に体調が悪い状況で(しかも十分な準備もできずに)プレゼンを引き受けて惨憺たる結果になったことがあり、深く共感します。
やはりプレゼンを成功させるためには、精神的にも身体的にも安定した状態で臨むことが何よりも大切なのでしょうね。
わたしの忘れられない思い出として、小学校の弁論大会に出る羽目になり、予選とか本線とか、その度に予行演習を延々と親父の前でやらされた事があります。
前を見ろ、もっとゆっくり、言葉をハッキリと、自分が訴えたいことを身体全体で表せ、、、延々と続くダメ出しにその当時は本当に嫌で仕方ありませんでしたが、今はこの体験しておいて本当によかったと感謝しています。
もしかしたら人前で話すのは小学生の時が一番上手かったのかもしれません(苦笑)
まったく同感です。
私もはじめての講演の時、60分の原稿をすべて、一字一句書きました。「えーと」まで書きました。今でも覚えています。事前の準備がしっかりできていてこそ、冷静に周囲を見る余裕も生まれるわけで、それではじめてギャグのひとつも入れられます。今でこそプレゼンの本を出したりしていますが、やればやるほど準備の大事さを痛感します。
佐々木さん、
コメントありがとうございました。
お父様は厳しく、優しい方だったようですね。
私は子供の頃から人前で話すのがとても苦手で、社会人になってからやっと鍛えられたように思います。新入社員研修で、3分間スピーチをよくやっていましたが、ボロボロで無残なものでした。
中村さん、ありがとうございます。
本当におっしゃる通り、準備の量と本番の余裕は比例しているように思いますね。
“原稿”は作るべきなんでしょうか。私の場合、資料を見直しながら何を言うべきかを練り込む“準備”は入念に行うのですが、原稿は全く作りません。原稿を読むぐらいなら自分で話さずとも滑舌の達者な者にしゃべらせた方が聞き取りやすいし、そもそもライブである必要もなくビデオでも流せば良いじゃないかとさえ思ってしまいます。
プレゼンのその場で考えた言葉が、入念に準備した原稿より優れているのかと問われれば返答に窮しますが。
この方、Uさんと呼びましょう。Uさんって、ものすごーく頭の良い方で、永井さんには所属長でも、私はいっしょに仕事をした仲で。日曜日出社して、よーいどんで仕事を開始し、私がまだ半分しか出来ていないのに、彼女は終わっちゃって、「先に帰るわね」って帰っちゃったぐらい。あ。私の頭が悪いんだ・・・。
Uさんのプレゼンはいつも明瞭で、わかりやすく、的をえているのですが、さすが、こういった背景での努力があるからですね。本当に完璧を狙ってきますからね、Uさん。
それから、この出張をされた時って、Uさんのチームを世界レベルのソフトウェア拠点にするため、孤軍奮闘、血まみれの努力をされている頃ですよね。いっそう、鬼気迫るものがあったと思います。この業界、あんまりいないけど、彼女は偉いと思うな。