3/31の日本経済新聞夕刊「十字路:やりたいことだけでは勝てない」で、東レ経営研究所産業経済調査部の増田貴司さんが記事を書かれています。
この記事では、世界市場で躍進している韓国企業サムソンは「顧客に選ばれる力」を高めて商売に勝つことを何よりも重視しているのに対して、日本企業は作り手側のこだわる「いいもの」づくりが優先され、海外の顧客ニーズからずれている場合が多い、と述べられています。
この中で、ファーストリテイリング・柳井正会長兼社長が雑誌インタビューで語った発言が紹介されていました。
「(結果が出ない会社は、)たぶんやりたいことだけをやってるんじゃないでしょうか。お客様がほしいと思う選択肢にまず入らないと売れない。自分の好みに入り込むと売れなくなります」
「プロダクト・アウトから、マーケット・インへ」とよく言われています。
マーケティングをちゃんとやりましょう、ということですね。
この「マーケット・イン」という、ある意味で消費尽くされた言葉を使うと、「またか」と思われることも、多いと思います。
しかし自分でマーケット・インのつもりでも、実態は出来ていないことが多いのですよね。
あるいは、やりたいことへの思いが強すぎて、お客様が見えない。
消費尽くされた言葉の中に、本当に重要なことがある場合も、多いのです。
「作り手の思いを存分にこめた、ものづくり」から、「世の中が本当に必要としているものを提供する、ものづくり」への本当の転換が求められているのだと思います。
日本経済新聞「私の履歴書」で、ユニチャーム高原会長の連載が昨日終わりました。
生理用品・赤ちゃん用おむつ・大人用おむつ、どれも顧客自身が商品の使い心地を直接には教えてくれない商品です。しかし、まさに現場主義でマーケット・インを実践し続けてきた歴史でもあったと思います。
世の中が必要としているものを、提供する。
この当り前のことを実践するのが、本当に難しい。
今一度、本当にできているか、考えたいですね。