12月14日の日本経済新聞記事「海外赴任は「ノー」―「治安心配」しぼむ意欲、企業、研修に知恵」で、グローバル時代に逆行するように、海外赴任に対する若手社員の意欲がしぼんでいることが書かれています。
—-(以下、引用)—
産業能率大が今春の新入社員に海外勤務について尋ねたところ「働きたいと思わない」との回答は49%と6年前の調査から20・3ポイント増加。理由は「リスクが高い」が56%とトップで「能力に自信がない」が続く。
(中略)
大手自動車メーカー勤務の男性(28)は「命令されれば仕方なく行く」と海外赴任に消極的だ。海外研修に行った同僚から「現地で学んだスキルはあまりない」と聞くこともあり、海外へ出ても「出世が待っているというより、スペシャリストという特殊な立場に進んでしまいそう」と将来への不安もよぎる。
—-(以上、引用)—
この感じ、すごくよく分かります。
今ではブログで「グローバルで活躍しよう」と書いていますが、かく言う私も、グローバルで仕事をするのが苦手でしたから。
だから、決して「今の若い人達が世界に出て行きたくなくなっている」のではなく、「そもそも、海外に出ることは勇気が必要」なことなのですよね。
私は大卒でIBMに入りましたが、もともと海外に行きたくてIBMに入ったのではなく、アメリカが好きで、IBMという会社がよさそうだから入りました。
入社して1年間が経過した23歳の時、1ヶ月の海外出張の話しがありました。ある製品の現地でのテストです。
「ちょっと面倒くさいし、怖いなぁ」というのが、当時の正直な実感でした。
1985年の米国は「治安が悪い」という印象が強くありました。
入社時点で475点だったTOEICも、やっと600点をクリアしたレベルでしたし。
実際、ノースカロライナ州のラーレイに行きましたが、乗り継ぎが2回あって、初めての一人での出張は色々と大変でした。
英語のコミュニケーションも一苦労。当時は日本人ということで、ちょっと特別視されていました。
慣れない車の運転で、他の車のドライバーから怒鳴られることもあって、結構神経をすり減らしました。
仕事でのコミュニケーションも苦労の連続。
結構落ち込むこともありました。
でも、この時の体験は、現在、グローバルコミュニケーションを行う上での原体験になっています。
世界10ヶ国以上の人達と1ヶ月過しましたが、まさに異文化コミュニケーションの原体験になりました。
世界には、実に色々な考え方の人がいるのだな、ということ、そして英語力はなくても心の底の部分でお互いに分かり合うのは可能なのだ、ということがよく分かりました。
ここで色々と経験したことで、その後海外の人達とコミュニケーションをする上で、苦手意識がなくなりました。
先の記事は以下のように締めくくっています。
—-(以下、引用)—
IHIは今秋から、インドへの若手研修を始め、今月4日、6週間の日程を終えて15人が帰国した。現地ではバスがエンストしてみんなで押すなどトラブル続き。技術系の男性社員(26)は「慣れない食事などで最初は体がだるく、1カ月でホームシックになったが、乗り越えられたことで海外でも働ける自信がついた」と話す。
研修に同行した人事担当者は「企業訪問でも最初はおどおどしていた社員が、最後は自分から積極的に発言するようになった」と手応えを語る。
—-(以上、引用)—
同感です。
私達日本人はずっと日本国内で生まれ育っている人が圧倒的に多いわけで、海外赴任が怖いし、自信がないのは、今も昔も、当り前です。
でも、怖いと思っても、実際にやってみると、結構面白いものなのですよね。
なにしろ、当時、ビクビクして海外に行っていて、失敗ばかりしていた私が、その経験をお伝えしたいと思って、今では「グローバルと日本」というテーマでブログを書いている位ですから。
ですから、もし海外での仕事を受けるかどうか悩んでいる方がもしいたら、私は自信を持って「後悔することは絶対ないので、是非やってみましょう」とお勧めします。