2011/12/19の日本経済新聞の記事「経営の視点 ヒットは顧客を追わない—創意ある組織づくりカギ」で、顧客の言いなりにならないヒット商品作りのことが書かれています。
—(以下、引用)—
今月、日本経済新聞社が公表した11年日経MJヒット商品番付。その中で爆発的な数字をたたき出したメガヒットの特徴は目先の顧客を追わず、想定外の設定で驚かせたことだ。テレビドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ)とミステリー小説「謎解きはディナーのあとで」(小学館)がその代表例だろう。
(中略)
(日本マクドナルドの)原田泳幸社長は「試験段階での顧客の評価を気にしてはいけない」と話す。消費者の意識と行動にはギャップがあるためだ。事実、昨今の健康志向でもボリューム感のある「クォーターパウンダー」の人気は続く一方、韓流ブームに乗った「KBQバーガー」は伸びなかった。
日経MJのヒット商品番付の横綱に輝いたのは「アップル」。10月に死去した共同創業者のスティーブ・ジョブズ氏は公認伝記でこう語っている。「欲しいモノは見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんて分からないんだ」
—(以上、引用)—
「家政婦のミタ」が視聴者に調査して主演・松嶋菜々子さんのキャラクターを決めていたとしたら、決してあの無表情でぶっ飛んだキャラ作りは出来ずヒットもなかったのではないでしょうか?
原田社長がおっしゃる「消費者の意識と行動にはギャップがある」というのも、まさにその通りですね。
「顧客に話を聞いてもなかなか本音は聞けない」ことは、立場を変えて自分のケースで考えると分かりやすいのではないでしょうか?
例えば行きつけのにしていた店の足が遠のいてしまうのは、特に明確な理由がなくて「ただ、何となく」ということが多いのではないかと思います。このような場合にインタビューをしてもちゃんとした答えは得られないのですよね。
また店を選ぶ際に何を重視するのか調査を受けた時、私たちは「立地」「品揃え」「サービス」等々とそれなりに考えて回答します。しかし実際に店を選ぶ場合はそれだけで決めることは少ないように思います。「なんとなく気に入ったから」「空間が素敵だから」「店長の人柄がいい」といった何かうまく説明できない理由であることが多いのではないでしょうか?少なくとも私はそうです。
「欲しいモノは見せてあげなければ、みんな、それが欲しいなんて分からないんだ」と言っているジョブズはこの人の心が分かっているのでしょうね。
「顧客が何を求めているかは尋ねてはいけない」としたら、私たちはどうすればよいのでしょうか?
一つの方法は「顧客が何で困っているのか」を理解して解決策を提示することではないかと思います。
記事は以下のように締めくくられています。
—(以上、引用)—
消費者行動を定量化するのは一段と難しくなっている。市場調査はもちろん、勘に頼るだけでも無理がある。ヒットを生むには顧客の先回りをするような「サプライズ本位」の組織作りが欠かせない。
—(以上、引用)—
顧客のことを理解し本当に欲しいものをそっと差し出して、サプライズを演出し感動を提供できれば、最高ですね。