改めて「イノベーションのジレンマ」で、顧客中心主義の大切さを考える


クリステンセンが書いた「イノベーションのジレンマ」とは、リーダー企業が既存顧客の要求を満たすべく真摯に既存製品の持続的イノベーションに投資し続けることで、新興企業が新規市場を開拓しながら推進する破壊的イノベーションに対応できず、結果的にリーダーの座を追われる、というものです。

この「イノベーションのジレンマ」について、早稲田大学ビジネススクールの根来龍之先生が、2012/6/5の日本経済新聞で、「経営書を読む クリステンセン著『イノベーションのジレンマ』④処方箋の提示 顧客視点で理論構築」というコラムを書かれています。

改めて「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」の違いを理解する上で大変参考になりましたので、一部をご紹介させていただきます。

—(以下、引用)—

ここで注目すべきなのは、クリステンセンがそのときの大半の顧客のニーズに沿っているかどうかでイノベーションを分類したことです。これまでのイノベーションの多くの分類方法が技術の革新度合いを判断基準としていたのに対し、顧客の視点から見た点で独創的なものでした。

—(以上、引用)—

「イノベーションのジレンマ」は、見方によっては「現在の顧客の課題を満たそうと努力し続けることで失敗する」と捉え勝ちです。

しかし根来先生のご指摘をもとに改めて考えてみると、「既存の顧客を大切に考えること」が問題なのではなく、「破壊的イノベーションで新たに生まれた顧客のことを考えない」こと、そして「既存の顧客にとって、破壊的イノベーションが将来もたらす価値を十分に考えない」ことが問題なのだ、ということですね。

 

これは事業の定義を顧客中心で考えるか製品中心で考えるか、という話に相通じる話のようにも思います。

化粧品会社が自社を「化粧品製造業」と考えると新しい美容法は脅威ですが、自社を「顧客をより美しくする業務」と考えると新しい美容法は顧客に新しい価値を提供するチャンスです。

 

つくづく、顧客中心主義とは深いものだと痛感します。