マーケティング関連のプレゼンをさせていただく際に、最初に参加者に「最近の買い物を思い出して下さい。その商品を買った理由は何ですか?」とお聞きします。
実際にお聞きしてみると、価格で決める人は極めて少数派。
多くの方々は、少々高くてもあえて気に入ったモノにはお金を出します。
そのような商品は、その商品を買った人のニーズを巧みに捉えたモノが多いのです。
その観点で、2012/06/12の日本経済新聞の記事「危機の電子立国テレビなぜ負けた(1)「日本製が消えていく」(迫真)」を読むと、色々なことが見えてきます。
—(以下、引用)—
….そんなヨドバシAkibaのテレビ売り場で唯一、人だかりができているのがLGのコーナー。松井がLG製をここに置いた理由はもう一つある。「日本メーカーに、もっと頑張れと言いたいんだ。このままだとテレビ売り場から日本製が消えちゃうよ」
(中略)
日本メーカーはどこで間違えたのか。ずっと売り場を見てきた松井と山田の分析は手厳しい。….
「きれいに映す競争に熱中して、消費者を楽しませることを忘れていた。だからエコポイントであれだけ売れて品不足の時期にも、テレビの価格は下がり続けた」
「3万円のテレビが売れないのに、節電機能付きの4万円の扇風機や2万円のスマホ用ヘッドホンが売れる。価値があると思えばお客さんはお金を出す。日本メーカーは大きな工場を建てるだけで、売り場の声も客の声も聞かなかった」
「よく量販店が価格下落の犯人にされるが、それは違う。メーカーの本分である商品の企画設計がおろそかになり、売れない商品を作りすぎた。デジタル製品の特徴である水平分業の作り方ができなかったのも痛い」
—(以上、引用)—
「きれいに映す」ことはある程度まで行くと限界に突き当たります。
デジカメの画素数競争も同じですね。
一時期のデジカメは画素数=画質。そこで画素数競争をしていました。しかしここ数年間は画素数は増えていません。むしろ画素数が増えるとデータ量が増えてしまうデメリットが目立ちます。そこで操作性や高感度、軽さといったところで勝負しています。
記事は以下のように続けています。
—(以下、引用)—
顧客や売り場の声に耳を傾けてこなかったつけは大きい。
…「米国では日本勢がテレビの低価格化を先導している」(長内)。ブランド力がないから、価格で勝負するしかない。
—(以上、引用)—
価値勝負を見誤ったつけで価格勝負に陥ることになります。
しかし価格勝負で勝つのは生産量が多い=世界シェアが最も高いメーカー。
「価格勝負から価値勝負へ」いかにシフトするかが、今求められていると思います。
色々と考えさせられた、日経の特集記事でした。