企業による様々な不祥事のニュースを目にします。中には不祥事を繰り返す企業もあります。
これらのニュースを見るたびに、「なんでこんな当たり前のことができないのだろう」と感じることは多いと思います。
しかし一方で、会社員の経験がある方であれば、「みんなわかっているのに、なぜ当社はなかなか変わらないのだろう?」というジレンマを感じた方もまた、多いのではないでしょうか?
不祥事を起こした企業に勤める社員や経営陣の皆様も、決してサボっていない筈です。
これまでのやり方を変えるためにも、企業の変革が必要なのですよね。
では、なぜ企業変革ができず、不祥事がなくならないのでしょうか?
それは社員個人の問題ではなく、企業文化の問題なのかもしれません。
そのことを考えるために、E.H.シャイン著「企業文化 生き残りの指針」を読了しました。
シャインは組織文化論の第一人者です。研究者としてのみならず、世界中にある多くの企業で実際に企業変革プロジェクトに携わった膨大な知見に基づいて述べられた洞察には圧倒されます。
シャインの著書と言えば、「組織文化とリーダーシップ」が有名です。私は2000年に多摩大学・大学院の授業「組織文化論」でこのシャインの理論を学びましたが、この時点で本書は絶版になっていました。幸い、2010年に最新事例も取り入れた第四版が出版され、昨年白桃書房から翻訳版が出ています。
しかしこの「組織文化とリーダーシップ」は500ページを超える大著で、読了するのはなかなか大変です。
一方で「企業文化 生き残りの指針」は、「組織文化とリーダーシップ」のエッセンスを凝縮した実践版です。234ページで読みやすく構成されています。私は神戸出張の新幹線で読了することができました。
読んでみて、企業変革においては、「企業文化」は避けて通れない大きな課題であり、変革の障害になることが多いこと。そして企業文化の課題は決して単純化できるものではないことを再認識しました。
本書は組織に関する本質的な洞察に基づいていますので、書かれている内容は日本企業にも当てはめて考えられると思います。
企業変革に携わる方々は、とても多くのことが得られると思います。