昨日に続き、連載3回目です。(前回はこちら)
【ありがちな勘違い】参加者がバラバラなことを言い始めて、議論が発散し、迷走してしまう
テーマを決めて会議を招集、参加者も集まり、会議が始まりました。
しかし参加者各自が、そのテーマに沿って色々なことを話し始めてしまいます。たとえばこんな感じです。
「前から思っていたんだけど、xxxxxあるべきだと思う」
「xxxxxは何とかした方がいいよね」
「そうそう、こんなことがあった」
そして話が発散してしまい、当初の会議の目的が達成できないのです。
【どうしてそうなる?】会議には色々なタイプがある。そしてお互いに思い違いをしている
会議はテーマを決めるだけでは不十分なのです。
実際には、会議には様々なタイプがあるからです。
・情報共有の会議:定例会議などはコレです
・問題分析と解決の会議:何か問題が発生した場合、現象を把握、分析し、対策を講じることが目的です
・意志決定の会議:シニアマネジメントが参加する会議の多くはコレです
・アイデア出しのための会議:一般的に「ブレインストーミング」と呼ばれます。アイデア出しをしたり、市場機会を見つけたりすることが目的です
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例えば、「問題分析と解決」のために招集した会議で、参加者が「アイデア出し」を始めたら、どうなるでしょう?
本来の問題把握はできませんし、問題解決も長引きます。
会議がどのタイプなのか、参加者が理解していないと、会議が時間の無駄になってしまうリスクがあるのです。
実際には、参加者に会議のタイプと目的を伝える重要性は、日本人同士の会議でも変わりません。
しかし日本人同士だと、なんとかなってしまうのです。主催者側の意図がある程度の「あうんの呼吸」で伝わるからです。
加えて多くの日本人は、会議ではあまり発言しない傾向があります。ですのでお互いに空気を察しあいながら、徐々に当初の目的に誘導することも可能です。
ですので日本人同士の場合は、会議のタイプについて明確に言わないケースも結構多いのです。
しかし海外の人たちには「あうんの呼吸」は伝わりません。加えて会議で発言しない参加者は貢献価値がないと見なされます。
ですので、最初に会議のタイプと目的を合意していないと、会議が発散してしまうのです。
【こうしましょう】”Let me clarify the objective of this meeting. ..” 冒頭で目的を明確に伝える。
まず会議の冒頭で、このように始めましょう。
“Let me clarify the objective of this meeting. ..”
(会議の目的を確認させて下さい)
このように最初に会議の目的を明確にし、参加者で共通の理解を持つことが出発点になります。
冒頭の言葉の後は、例えばこう続けます。
・「今日の会議では、この問題を分析し、解決したい。力を貸して欲しい。会議が終わる1時間後には解決策を合意したい」
・「今日の会議は、アイデア出しのブレインストーミングだ。各自思い思いに自由にアイデアを出して欲しい」
・「今日の会議では、今起こっていることを皆さんと情報共有したい。是非意見して欲しい」
【参考までに】目的が共有できていないと、英語はさらにわかりにくくなる
ただでさえわかりにくい英語です。
目的について理解の相違があったり、状況が共有できていないと、相手が何を言っているかが、なかなか理解できません。
10年ほど前、当時勤務していた日本IBMで、発展途上国の方々数十名をお招きして、IBMの経営変革の歴史についてお話ししたことがありました。
プレゼンが終わり、Q&Aタイムになりました。
アフリカから来た人が手を挙げて、数分間話し始めました。
ただ、かなり強い英語のなまりのため、何を言っているか全くわかりませんでした。
数十名の参加者がいる中で、3回聞き直しましたが、結局理解できず。
私が困っているのを見るに見かねたのか、隣の人(同じくアフリカから来た方)が説明してくれました。
「彼は質問しているんじゃないよ。『いやぁ、あなたの話はいい話だった』と感想を言っているんだよ」
私は「Q&Aタイムでは質問に答えよう」と思いこんでいました。しかし「Q&Aの時間に感想を話す」というのは私の想定外でした。(考えてみたら、感想を言うのは当たり前のことですね)
この思い込みが前提にあったので、ただでさえわかりにくい英語がますます理解できなかったのですね。
最初に目的やゴールを意識あわせすることは、お互いに理解度を深める上でもとても大切です。
ちなみにその時の集合写真です。
アフリカ各国、ブータン・バングラデシュ等のアジア各国、南アメリカ各国から多くの方々が参加されました。世界は欧米やBRICSだけではありません。世界は広いと実感しました。
10年前というと2003年。もう一昔前ですね。
【追記:2013/12/3 12:30】
本記事は、日本IBM様が改善活動の成果物として公開している「テレコン英会話小冊子」に掲載されているp.9-10の文例を参考に、その背景を掘り下げてご紹介しました。