「アダプト思考 予測不能社会で成功に導くアプローチ」(ティム・ハーフォード著、ランダムハウスジャパン、2012年)に、こんな事例が出ています。
—(以下、p.343-344から引用)—-
ジョ・アン・ファブリックスという手芸用品チェーンがあっと驚くキャンペーンを打ち出した。驚くほど創造的だったり、驚くほど気前がよかったりしたわけではない。びっくりするほど下手だったのだ。ミシンを1台買ったら、もう一台を二割引でご提供します、というのである。
—(以上、引用)—
このプロモーションを見て、どう思われるでしょうか?
プロモーションの経験がある方だと、「普通、二台も買う人はいないでしょ?うまくいかないだろうな」と思われる方もおられるかもしれませんね。
実は私も、最初はそう思いました。
しかし、結果はこうでした。
—(以下、p.344から引用)—-
しかし、このキャンペーンはあっと驚く成功を収めた。
顧客にとっては、ミシンを1台につき1割引で買えるというのはとても魅力的な条件だったので、ミシンが欲しいと思っているかもしれない友人を探し始めた。つまりこの奇抜なキャンペーンは、アマチュアのセールススタッフが営業をするという予想外の結果をもたらしたのだ。
—(以上、引用)—
このキャンペーン、実はこの会社(ジョ・アン・ファブリックス)が試行錯誤を繰り返して見つけました。
サイトでいくつかのタイプのキャンペーンを試行してみた結果、この「2台目を2割引」のキャンペーンが、サイト来訪者一人当たりの売上が3倍以上に増えたのです。
クライアント様の現場責任者の方々とお話しする機会をよくいただくのですが、皆様の共通のお悩みが、「『考えるよりもまずは実行が大切』というのはよく分かる。しかし現実は、現場にはそんな余裕はない」というもの。
確かに人は減る一方で仕事は増えている中、私たちは厳しい環境にいます。
しかし一方で、このキャンペーンのように、日々の業務の一環として、限られた時間の中で小さな試行錯誤を沢山行って、より正しい正解を見つけることが可能な時代でもあります。
そのように正解を見つけることで、成果を劇的に向上させることも可能になります。
日々の仕事の中で、意識して小さな試行錯誤を繰り返していきたいものです。